v11.0
- ID:
- 29613
- 年:
- 2014
- 月日:
- 0207
- 見出し:
- 手作りの椅子
- 新聞名:
- MSN産経
- 元UR(アドレス):
- http://sankei.jp.msn.com/life/news/140207/trd14020707240000-n1.htm
- 写真:
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- 記事
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茨城県常陸太田市 古神早苗 54 主婦
1月下旬の日曜日。
夫は朝食を済ませた後、玄関先で椅子に腰掛けて、たばこを吸っていた。
冬の日が差し込め、日なたぼっこにはもってこいの場所だ
台所で後片付けをしている私の耳に、突然、夫の声が聞こえてきた。
何かと思って行ってみると、椅子が壊れている。
「とうとう、こいつは壊れちまった。
寿命が来たんだ」と夫は言う。
その椅子は夫が中学生の頃、技術家庭の授業で作った木の椅子だった。
40年間も夫は使い続けてきたが、とうとうくぎが緩み、粉々となった。
天寿を全うしたかのごとき、その木の椅子を丁重に集め、火にかけた。
次の日曜日。
夫はホームセンターへ出掛け、木を買ってきて、一日掛かりで新しい木の椅子を作り上げた。
見るからに、それは頑丈そうな椅子だ。
自らの手で作り上げた椅子
この椅子は夫よりも長生きしそうに見える
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