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- ID:
- 同市では宮川保育園や老人福祉センター「塩壺の湯」などの建て替え計画があり、当面の課題となる。
柳平千代一市長は「自治体が率先して木材の利用に取り組んでいきたい」と強調した
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- 年:
- 2013
- 月日:
- 0204
- 見出し:
- 福島産依存あだに 原木シイタケ県生産者悲鳴
- 新聞名:
- 東京新聞
- 元UR(アドレス):
- http://www.tokyo-np.co.jp/article/kanagawa/20130203/CK2013020302000109.html
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- 記事
-
県内の原木シイタケ生産者が苦境に立たされている。
菌を育てる原木の大部分を占めていた福島県産が、福島第一原発事故後、出荷停止になったためだ。
2月ごろから菌を打ち始めるが、供給不足や単価高騰で原木の調達がおぼつかず、廃業を考える生産者も出始めているという。
(栗原淳)
「福島産の原木は質が良かった。
いつ使えるようになるのか…」。
広川公一(きんいち)さん(65)のため息は深い
箱根の玄関口、小田原市早川。
国道1号から林道を上がると、急峻(きゅうしゅん)な斜面に広川原木椎茸園はある。
原木に菌を打ち込んだ「ほだ木」の育成ハウスには、長さ九十センチ前後のほだ木が約二千本。
大きく育ったシイタケが収穫を待っている
広川さんが保有するクヌギやコナラのほだ木は、ハウス以外も含めて約三万本。
使えるのは平均三年で、毎年六千本前後を入れ替える。
すべて福島から仕入れてきたが、事故後は他県への切り替えを余儀なくされ、今年は宮崎、山梨の両県から何とか五千本集めた。
例年より少ないが、今あるほだ木を
使い続けてしのぐつもりだ
県森林再生課によると、県内の原木シイタケ生産者は約三十軒。
震災前の二〇一〇年、調達した原木の84%を県外産が占めた。
東京都でも県外産の割合は76%で、県外への依存度は際立って高く、このうち九割が福島産だった
昨年九月末時点で、県内の原木は約七万二千本不足していた。
原発事故の影響を受けなかった西日本産などが融通され、同課は「需給のミスマッチは改善している」とするが、事はそれほど簡単ではない
「これまでは、どんなに良質の原木でも一本二百五十円。
今年宮崎から入れたのは三百円もした」と広川さんはこぼす。
原木の一大産地の福島から木を切り出せなくなり、供給不足で価格が上昇。
西日本産は輸送費がかさむ。
頼みの山梨産は各地から注文が集中しているため、「あと六年で木がなくなる」
と厳しい状況だ
「一本八百円で吹っかけてくる業者もいる」。
県内約二十人の生産者でつくる「県原木キノコ生産者協議会」会長を務める広川さんの元には、同業者から悲鳴にも似た窮状が寄せられる
東京電力は原木の値上がりで受けた損害に対して賠償する方針を示しているが、「ほとぼりが冷めたら打ち切られるのでは」との不安が強い。
味が濃いと評判のいい原木シイタケ。
シイタケには菌床栽培もあるが、転換には新たな設備が必要で、「廃業を考える生産者も出始めている」と心配顔だ
「福島には原木を生む里山があり、優れた林業者がいる。
福島を再生しなければ、全国のシイタケ生産は立ちゆかない」と訴える広川さん。
北関東などでは、切り出した原木を高圧洗浄する機械が導入されているが、まだ台数はわずか。
「早くしないと、福島の森が荒れてしまう」。
気持ちは焦るばかりだ
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