v11.0
- ID:
- 28543
- 年:
- 2013
- 月日:
- 0906
- 見出し:
- 木材の感触が心地よいクラフト的キーボード──デザインの温故知新学
- 新聞名:
- ギア
- 元UR(アドレス):
- http://gqjapan.jp/2013/09/03/hiroshi-kashiwagi-125/
- 写真:
- 【写真】
- 記事
-
南仏の木工職人が厳選した木材を使って1台ずつオーダーメイドでつくるキーボードが、日本デビューを果たした。
持ち運びに便利なワイヤレスキーボードは、伝統技術と現代的な機能のバランスが美しい
文: 柏木 博 写真: 児玉晴希(STIJL)
写真はクルミ材のキーボード。
ほかにカエデ材もあり、ウェブサイトで購入可。
Mac/iPad、Windowsに接続可。
スマホやタブレットの接続可能機種はウェブサイト参照。
キーボード左上の模様デザインはカスタマイズできる。
サイズ:約294mm×137mm×12〜22mm。
重量:約285g。
価格:150ユーロ(送料別:国
際配送料30ユーロ)。
タブレットのスタンドとして使えるリサイクル皮素材の保護ポーチ(30ユーロ)も販売中
わたしたちの道具環境(デザイン)は、数千年来変化し続けており、それを改良の歴史と見ることもできる。
もちろん、改良のつもりが改悪という結果になることも少なくない
ところが、道具のデザインを大きく変更できない場合がある。
キーボードがその典型だ
タイプライターがレミントン商会によって商品化されたのは、19世紀後半である。
アルファベットがジグザグにレイアウトされているのは、印字ハンマーが絡まないようにするためだ。
しかし、IBMが1961年にタイプボールを導入したにもかかわらず、レイアウトは変更されなかった。
ハンマーなど存在しないパソコンの
キーボードもいまだに同様のレイアウトを採用している。
機械から電子への技術変化があったにもかかわらず、レイアウトは大きく変更されていない。
操作に混乱が起こるからだ。
これは、わたしたちの記憶や行動の保守性に由来している。
また、パソコンとカリキュレーターの10キーのレイアウトは同じだが、電話のキーは上下が逆だ。
これもわたしたちの記憶や行動
の保守性によっている。
パソコンのキーボードのデザインは、当初はキーをグリッドにレイアウトしたものなどいくつかの提案があったが、普及しなかった。
キーの基本レイアウトを変更せず、新たなデザインをとなると、まず可能なのは、素材を変更することだろう。
フランスのデザイン機器ブランドOréeは、クルミ材・メープル材のキーボードをデザインしている。
天然木材なので1台ずつ異なっており、クラフト的な印象を与える。
10キーをつけないノート型のデザイン
だ。
専用パッケージはキーボードを設置し、そのままタブレットのスタンドにもなる。
木材の感触は思いの外なめらかだ
fff: