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    ID:
    26399
    年:
    2013
    月日:
    0107
    見出し:
    漆通じ生き方見つめて 「本物の器」 被災地にも豊かな心
    新聞名:
    中日新聞
    元UR(アドレス):
    http://www.chunichi.co.jp/article/living/life/CK2013010702000129.html
    写真:
    【写真】
    記事
    塗料や接着剤として日本文化に深くかかわってきた漆。
    だが、漆器は大量生産される陶磁器やプラスチック製品に取って代わられ、暮らしの中で漆製品を手にする機会は少ない。
    樹液が漆となる植物のウルシの森は管理が行き届かず、荒れがち。
    そんな中、漆を通じて自然と文化のかかわりを見つめ直そう とする動きが出始めた。
     (伊東治子)  一月中旬、秋田県内に避難している東日本大震災の被災者に漆塗りの飯椀(わん)千二百個が贈られる。
    製作したのは同県特産の川連(かわつら)漆器の職人たち。
    それに、全国各地の漆芸家らも無償で手伝った  きっかけは昨年四月、秋田公立美術工芸短大の樋田豊次郎学長(62)と、漆芸家で蒔絵(まきえ)の人間国宝、室瀬和美さん(62)が美術館主催の座談会で、被災地支援を話し合ったことだった。
    樋田さんは「音楽に比べ、美術や工芸は心に傷を負った人たちのよりどころになっていない。
    『本物の器』で、 心の豊かさを取り戻してほしいと考えた」と話す。
    製作費の百万円は、同短大生らが街頭募金などで集めた  なぜ、漆の飯椀なのか。
    製作に参加した室瀬さんは「現在は茶碗(ちゃわん)でご飯を食べる人がほとんどだが、茶碗は文字通り、お茶を飲むための器。
    昔は漆の飯椀でご飯が食べられていた」と話す  茶碗に入れたお茶は冷めやすく、すぐに飲み頃になる。
    一方、ご飯はゆっくり食べても冷めないほうがよく、保温性が高い漆器が向いている。
    茶碗が使われるようになったのは、江戸時代に瀬戸物が大量生産されるようになってからで、戦後はプラスチックの代用品も出回るようになった  「日本の食卓では、もともと、最もおいしく食べられる素材が器に選ばれていた」と室瀬さんは話す。
    「自然には震災のような恐ろしさもあるが、漆のような恵みもある。
    自然と文化とのかかわりをもう一度、考え直す時期に来ている」  国産漆の八割を生産する岩手県二戸市浄法寺地区には、ウルシが十数万本植えられている。
    だが、漆そのものの需要が少なく、さらには中国産に押されている。
    手間をかけて育てても売れないため、漆を採取できる状態の木は四万~五万本しかない。
    同市うるし振興室の中村裕(ゆたか)室長は「適正な 対価が得られなければ育てる人がいなくなり、漆が生産できなくなる」と危惧する  独立行政法人・森林総合研究所(茨城県)の田端雅進(まさのぶ)・微生物生態研究室長らは二〇一〇年度から三年間、農林水産省の助成でウルシの生育管理や漆の利用拡大などを研究している。
    同年から年一回、研究者や工芸作家、漆かき職人など、さまざまな分野の人が国産漆の情報を共有し 、今後のあり方を議論する漆サミットも開き、対策を練っている  石油製品のプラスチックとは違い、漆は環境に優しい典型的な循環型資源。
    その盛衰は林業にも影響する。
    「漆器が見直されれば、ウルシの森が再生する。
    木工品に使われるブナやキリなどの広葉樹の森も管理され、再生する」と室瀬さんは強調する  今回の贈呈も、そのための一歩。
    「漆の飯椀で食べるご飯のおいしさは、体験すれば誰でも分かる。
    今後も多くの人に漆器を使ってもらうよう、さまざまなメッセージを発信したい」と話した ◆国内自給は激減  ウルシは中国原産とされ、日本や韓国にも分布する。
    樹液の漆は日本では縄文時代から、塗料や接着剤などに使われてきた。
    化学塗料と違い、酵素の働きで硬化し、文化財を何百年も劣化させない強度を持つ。
    森林総合研究所によると、漆の酵素の働きには解明されていない部分も多い。
    漆塗りの技術 も職人芸で、塗料としての科学的な研究が本格的に始まったのはここ数年という  明治時代には国内で年間数百トンの漆が生産されていたが、戦後は化学塗料や中国産の安い漆に押され、生産量が激減。
    二〇一〇年の生産量は一・六トンで、国内自給率は3%に満たない fff:

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