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    ID:
    27173
    年:
    2013
    月日:
    0321
    見出し:
    木材の美しさを生かす塗装を
    新聞名:
    どうしん住ピタ
    元UR(アドレス):
    http://jupita.sumai.hokkaido-np.co.jp/column_02_kukan65.html
    写真:
    【写真】
    記事
    木材に塗装することは、一般的には難しいと言われています。
    それは「美観・美装・保護」という本来の塗装の目的以外に、木材自身の持つ天然素材ならではの美しさを生かす必要があるからです。
    木材の種類や塗料によって仕上がりが異なりますので、特長を知った上で、塗装することをお勧めします ◎仕上がり  木材は「針葉樹」と「広葉樹」に分けられます ●針葉樹  「針葉樹」は全組織の95%が細かい径の仮導管からできています。
    以下の写真は電子顕微鏡で見た針葉樹(アカマツ)の断面です 写真:「木材の基礎知識」(日本木材総合情報センター刊)より  木の成長は季節によって違い、春材(=早材:春から夏にかけて成長する部分)と夏材(=晩材:夏から秋にかけて成長する部分)があります。
    これが板では木目として見えます。
    春材は軟質で色が薄く、夏材は硬質で色が濃いです  春材の方が塗料が浸透しやすいため、塗装すると、濃色になります。
    一方、夏材はあまり着色されないため、自然の材色とは濃淡が逆転することがあります  一枚の板に春材と夏材が含まれており、木目を美しく仕上げるのは、難しい作業です ●広葉樹  広葉樹は導管(水分が上昇する通路)の配列によって、「散孔材」「環孔材」などの種類に分けられます  「散孔材」はシナ、カバ、カツラ、ラワンなどで、導管の径が小さく、数が多く、平均的に分布しています。
    全体に散在している導管に色が絡んで、むらになる傾向にあり、透明塗装か塗膜着色が適しています  「環孔材」はケヤキ、タモ、ナラ、セン(ハリギリ)などで、導管の径が大きく、部分的に集中して分布しています。
    年輪に沿って並んでいる導管に色が入り、塗装すると、木目がより一層鮮明に強調されます <散孔材(カツラ)の断面> <環孔材(ハリギリ)の断面> 写真:「木材の基礎知識」(日本木材総合情報センター刊)より ◎木材に使用する塗料の種類  木材用塗料には、主に合成樹脂系のラッカー塗料、ウレタン塗料、ポリエステル塗料、UV塗料が使用されています。
    加えて、古くからある漆やセラックニス、油性塗料、最近では自然塗料と称する商品があります  自然塗料とは、天然素材で、かつリサイクル可能な原料を使用する塗料の総称です。
    エコ塗料とも呼ばれ、環境への負荷が少ないことで需要を急速に伸ばしています  最も多く出荷されている油性系自然塗料を使う場合、環境や健康への安全性は高いものの、合成樹脂系塗料に比べて、①塗膜性能(耐久性)面で劣る、②乾燥に時間がかかり臭気が残る(油の酸化重合反応による硬化のためで、ホルムアルデヒドの発生がある)、③塗装後のメンテナンスを要する-な どを理解した上で、扱う必要があります ◎木の呼吸とは  「塗装すると、木の呼吸を妨げませんか?」とよく聞かれます。
    これは「木材の持つ調湿効果を妨げませんか?」ということです  調湿効果=木の呼吸、つまり木は呼吸をしないとダメと解釈されがちです。
    調湿効果とは、周囲の湿気の影響で膨張と収縮をしているだけで、自発的な生理活動である呼吸とは本来似て非なる現象です。
    確かに、塗膜を形成する造膜型塗装は調湿効果を妨げます。
    しかし、塗膜があることで汚染に強く、 耐久性は向上します  調湿効果を妨げない浸透型塗装は、木材を生かした美しい仕上がりになる反面、湿度の影響で寸法が狂いやすい短所があります  どちらが優れているかではなく、それぞれの長短所を正しく理解した上で使用しないと、家具納品後や建築施工現場でのトラブルの原因になることが少なくありません。
    木材同様、塗装も専門家に相談することをお勧めします ◎塗装しない選択も  これまで塗装のお話をさせていただきましたが、逆に「思い切って塗装をしない!」というのも面白いと思います  無塗装の外壁材を使用した場合、年月が経つと段々とグレー色になってきます。
    これを「木が腐ってきた」と捉えるか、「なかなか味が出てきたなぁ」と感じるかは人によって違います  私は後者の考え方ですが、その背景には、前職場の社長がよく言っていた「50年後の町の文化になりえる家造りをしたい」という言葉にあります。
    木材が織り成す経年変化は、人為的には表現できません。
    これこそ文化となる究極の木材の生かし方の一つではないかと考えるからです 参考文献:「建築現場における木材を活かす塗装」 木材塗装研究会 長澤良一 写真:(財)日本木材総合情報センター「木材の基礎知識」より fff:

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