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- ID:
- 27170
- 年:
- 2013
- 月日:
- 0321
- 見出し:
- 大震災2年 「シイタケ王国」ぐんま悲鳴 足りぬ原木 確保に奔走
- 新聞名:
- 東京新聞
- 元UR(アドレス):
- http://www.tokyo-np.co.jp/article/gunma/20130319/CK2013031902000190.html
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- 記事
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全国一の原木シイタケ生産量の県内で、生産農家が原木不足に泣いている。
県の調べによると県内で使う原木は八割を自給していたが、東京電力福島第一原発事故後の厳格な放射能検査の影響で、今年は例年二百万本の四割ほどに激減が見込まれている。
(池田一成)
「ふっくらしたかさの丸みと大きさの均一性、足の長さとのバランス。
こだわるときりのない世界」
県のきのこ品評会で知事賞・農林水産大臣賞を受けた渋川市の原木シイタケ農家、森田富雄さん(61)は、こう語る。
今、その原木の確保に頭を痛めている
毎年、原木一万六千本を仕込む。
だが、作業場のある北橘町周辺で、一キログラムあたり五〇ベクレルという放射性物質の基準に合った原木の確保は難しい。
「五十年間で新たに原木が手に入らなかったのは初めて。
この春、植菌するものは一つもない」と言い、古くなった木の使い回しも考えている
原木不足で価格も高騰し、一本二百円ほどだったのが二百四十~二百五十円になった。
隣の長野県、遠くは大分県から購入する動きもあるが、多くはクヌギ。
県の気候に合ったコナラは十分にない
県は原木購入に対して支払う一本五十円の補助を、県外産にも拡大し施設整備も補助するなど、支援策を打ち出している
ただ、森田さんは、生産者は「疲れている」と事故の影響を指摘。
「正直、木の質は言うなよというところまで来ている」。
原木栽培の継続と、菌床栽培へのシフトも念頭に思案の日々が続く
■
一方、富岡市の原木シイタケ農家で県きのこ振興協議会の会長を務める富田修栄さん(62)は「ようやく明るい展望が開けつつある」と話す。
同協議会は甘楽・富岡地区の会員が全体の三分の一を占め、県のキノコ栽培の屋台骨といえる
周辺の山々をめぐって、今年はようやく一万五、六千本の原木を確保した。
「木を切り出すのにもセシウム検査をして数値を確認。
出荷まで何回も検査しています」と語る
苦しい時もあった。
二〇一一年秋、原木・ほだ木の放射性物質検査が始まり、一キログラムあたり一五〇ベクレルの基準ができた。
「仕事が、収入がなくなるのでは」「補償は出るのだろうか」。
不安で三日ぐらい眠れぬ夜が続いた。
検査の結果、二万本強が使えなくなったこともあった
今年は他県産に頼ることなく、植菌も進みそうだ。
自宅近くの畑には原木や、昨年菌を植え付けたほだ木など数万本が山積み
「首都圏への出荷もここのところ順調。
徹底的な検査態勢ができているので、消費者は安心して食べてほしい」と震災三年目に希望を託す
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