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- ID:
- 26240
- 年:
- 2012
- 月日:
- 1219
- 見出し:
- 神木 謎の立ち枯れ 除草剤注入?…四国など
- 新聞名:
- 読売新聞
- 元UR(アドレス):
- http://osaka.yomiuri.co.jp/e-news/20121219-OYO1T00270.htm?from=top
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- 【写真】
- 記事
-
四国などの山間部の神社で樹齢数百年の直径1メートルを超えるご神木のスギやヒノキなどが突然枯れる現象が相次いで起きている。
愛媛県では今夏、枯れたご神木の根元に数か所の穴が開けられているのが見つかり、除草剤の成分を検出した。
県警は、手口から木材に詳しい者が人為的に枯れさせ
たとみて器物損壊容疑で捜査。
全国8万の神社を束ねる神社本庁(東京)も警戒を呼びかけている。
読売新聞が各地の神社庁に取材したところ、2005年以降、少なくとも愛媛、徳島、高知、和歌山4県の神社7か所で、計20本のご神木が枯れたという報告があった。
うち6本で人為的な穴が確認され、3本から除草剤が検出された。
愛媛県東温
とうおん
市の惣河内
そうこうち
神社では今年8月頃、参道を挟んで立つご神木2本の葉が赤茶色になり、根元の11か所に穴(直径5ミリ、深さ4センチ)があるのに住民が気付いた。
県警と県の調査で、穴はドリルのようなもので開けられ、除草剤の「グリホサート」を検出した。
枯れた2本は、推定樹齢約600年のヒノキで、直径は1・1~1・4メートル、高さは35~37メートル。
住民に親しまれた大木で、近くに住む渡部輝男さん(75)は「子供の頃は、祭りで2本のご神木の間を神輿
みこし
が通った。
なくなるのは、実にさびしい」と肩を落とす
専門家は今回の被害について木の特性に精通した人物が関わったとみる。
愛媛県林業研究センターの豊田信行・研究指導室長は「スギやヒノキは表面から4センチまでの表皮部分に水分を運ぶ管があり、そこに除草剤を注入すれば、奥深く注入するより、早く弱らせることができる。
木材をよく知る者でないとできないはずだ」と推測する。
徳島県美馬
みま
市の麻衣
あさぎぬ
神社では昨年12月頃、市の天然記念物に指定されていた直径1メートル超のご神木のヒノキ3本が枯れ、人為的に開けられた同様の穴が計十数か所で見つかった。
除草剤の成分は検出されなかったが、市の指定は解除された。
新田仁志宮司は「天然記念物の巨木だけが枯れており、意図的なものだと直感した。
立派な木は貴重なのに悲しい」と語る。
世界遺産に登録されている和歌山県の丹生都比売
にうつひめ
神社でも06年6月、ご神木のスギが枯れた。
根元の4か所にドリルで穴が開けられているのが見つかり、県警の捜査で除草剤「テニルクロール」が検出された。
ほとんどの神社で共通するのは、枯れた直後に木材販売業者が売買を持ちかけてきたことだ
ご神木は、すでに業者に売却されたものもある。
しかし東温市の惣河内神社は、訪ねてきた業者に2本合わせて550万円で売却する契約を結んだ後、除草剤が検出されたため売却しないことを決定。
枯れた原因に不審な点があるとして今月4日、業者を相手取り、売買契約の無効を求める訴訟を松山地
裁に起こした。
林野庁によると、樹齢100年を超す天然木の多くは、戦後復興期に切り出されたため現在は希少で、市場に出回ると高値がつくとされる。
ただ、寺社の大木は、信仰の対象のため、災害などで倒れない限り、流通しないのが実情だ
四国の木材事情に詳しい愛媛県森林組合連合会の元職員(69)は「ご神木は平均的なスギやヒノキの10倍以上の値段がつく。
切るのははばかられるが、枯れてしまうと『倒れる危険がある』と伐採の理由が付く。
何者かに狙われている可能性もある」と言う
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