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- ID:
- 25994
- 年:
- 2012
- 月日:
- 1126
- 見出し:
- 木材伐採と生物多様性評価 森の豊かさ指標で測る
- 新聞名:
- 毎日新聞
- 元UR(アドレス):
- http://mainichi.jp/feature/news/20121126ddm016070039000c.html
- 写真:
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- 記事
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「森の環境を保全しながら木材も利用する」というスローガンを、世界各地で耳にするようになりました。
しかし、本当に環境が保全できているかどうか、評価するのは簡単ではありません。
今年6月、インドネシアのカリマンタン(ボルネオ島)で、森の生物多様性を測る新たな指標を開発する取り組みが始まりま
した。
◇ ◇
ボルネオ島の中央部に位置するクタイバラ県には、およそ240万ヘクタールというまとまった規模の森林が残っています。
同時に約20社の伐採企業も存在しています。
その一つが、自社の森の生物多様性を、客観的な指標で測ろうとしているラタ・ティンバー社です
森の生物多様性を知るには、森を隅から隅まで調べ、全ての生き物のデータを集めることが理想です。
しかし、それは非現実的でもあります。
そこで、同社の森で実施されているのは、京都大学の北山兼弘教授(森林生態学)が開発した手法です。
対象となる森の木々の樹種や太さなどのデータを集めて
分析し、「森の豊かさを測る指標」を割り出すというものです。
約10万ヘクタールの森に、半径20メートルの「プロット」と呼ばれる調査地点を計60カ所設け、約2カ月かけて、同社と環境保全団体・WWF(世界自然保護基金)インドネシアのスタッフがデータを収集しました。
現在は北山教授の元で分析が進
められています
同社がこのような調査に取り組む理由の一つは、環境や人権に配慮した森林管理を行っていることを証明するFSC(森林管理協議会)認証の取得を目指しているからです。
インドネシアでは、多くの伐採企業が、木を切り尽くして倒産しています。
同社に北山教授の手法を取り入れるよう助言したWWFインド
ネシアの担当者は「森の生物多様性を客観的に評価することは、将来にわたって自社の森で操業を続けられるかどうかを把握するための、重要な経営課題でもあるのです」と話しています
北山教授は、できるだけ簡素で経費がかからず、しかも科学的に信頼できる結果が出せる手法を目指しています。
そのため、開発途上国の政府が、自国の森の生物多様性を守る上での指標として取り入れる可能性も期待されています
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