v11.0
- ID:
- 25801
- 年:
- 2012
- 月日:
- 1106
- 見出し:
- [正倉院展 宝物と私 木の特性知り楽器守る 棚厨子
- 新聞名:
- 読売新聞
- 元UR(アドレス):
- http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/nara/news/20121105-OYT8T01396.htm
- 写真:
- -
- 記事
-
木製品企画会社経営 磯崎典央さん
「棚厨子(たなずし)」を見て、まず、素材にスギが使われていることに驚かされました。
スギはとても軟らかく、傷がつきやすいので家具には不向きで、めったに使われないのです。
しかし、そのソフトさが「螺鈿紫檀琵琶(らでんしたんのびわ)」をはじめとする大切な楽器を収納する棚としては最適だったのでしょう。
スギは、樹液が少ないのも特徴です。
このことも、棚に置く宝物に悪い影響を与えず、長い期間、保存するために役立ったはずです
吉野町のスギやヒノキでつくる「吉野材」で木工品や和紙などを企画・製作する「吉野スタイル」を経営し、消費者にアピールできる商品開発に挑戦しています。
木に日々向き合う身として、正倉院の時代にこれほど、木材が深く理解されていたと知ってうれしいです
素朴な意匠で、現代のインテリアとしても十分に通用します。
素材の特性をふまえて棚板の中央をくぼませ、反りにくくしているのも大きな発見でした。
忘れてはならないのは、正倉院は、それ自体が最も優れた木造建築だということ。
1250年の間、宝物を守ることができたのも、建材のヒノキを最大限に活用したからこそです。
宝物と正倉院は、現代の私たちに木の本当の価値を、時代を超えて教えてくれています
fff: