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    ID:
    25770
    年:
    2012
    月日:
    1102
    見出し:
    木の手触りが残る漆器のテーブルウエア
    新聞名:
    日経トレンディ
    元UR(アドレス):
    http://trendy.nikkeibp.co.jp/article/column/20121030/1044997/?ttr_img
    写真:
    【写真】
    記事
    岐阜県高山駅から車で20分。
    今年で38年目を迎えるオークヴィレッジは、小高い樹木に囲まれた一帯にある。
    飛騨高山に東京の青年たちが移り住み、農家の納屋でナラ材の受注生産の家具工房をスタートさせたのが1974年。
    “エコ”や“持続可能な社会”などという言葉が流通する以前から、日本の森林文 化を大切にする3つの理念を掲げて活動してきた。
    その基本は「100年かかって育った木は100年使えるモノに」「お碗から建物まで」「子ども一人、ドングリ一粒」。
    飛騨の匠の伝統工法を学びながら、家具だけでなく身の回りの小物から食器、家まで手がける日本でも数少ない存在だ シェーヌ・ドゥ アンサンブル(オークヴィレッジ、実勢価格2万1000円) [画像のクリックで拡大表示]  オークヴィレッジのテーブルウェア「シェーヌ・ドゥ」シリーズは、ナチュラルな木目を生かした漆器。
    この「シェーヌ・ドゥ アンサンブル」は、シンプルな木製のトレイとプレート、マグカップ、フォーク、スプーンの5点セット。
    手に持つと思った以上に軽く、ほっこりと優しい木の質感が伝わってくる。  2009年に新ブランドとして発表したテーブルウェア「シェーヌ・ドゥ」シリーズにも、同社のロマンと理念が込められている。
    ブランド名はフランス語のオーク(シェーヌ)と優しさや心地よさを意味するドゥを掛けあわせたもの。
    自然素材を生かした女性の視点からの新しいものづくりを目指したもので、「普段使いにも 適した強度と優しい手触り」が魅力。
    現地を案内してくれたオークヴィレッジ制作部次長 山内将氏によると「若い女性にもっと漆器に親しんでもらいたい」という思いがあったと言う。 オークヴィレッジは岐阜県高山市にある。
    樹木に囲まれた工房は木造の小学校を 移築。
    ショップやカフェも併設されている [画像のクリックで拡大表示]  そもそも同社では「お碗から建物まで」という理念から、さまざまなスタイルの漆器を作ってきた。
    ところが最近は、家庭で漆器を使うチャンスがめっきり減っている。

    使うとしても、伝統的な漆器は美術品や高級品の印象が強い。
    漆は海外で「JAPAN」と呼ばれるように、漆器は日本の伝統的な器。
    木の器を長く 堅牢に使うための塗装に使われる漆は、漆の樹液を使うため再生可能でもある。
    こうした漆器の伝統が廃れないよう、若い世代にも家族でもっと漆器を使ってほしいという思いから、洋食にも似合う、新しいスタイルの漆器を開発することにした。 オークヴィレッジの、日本の森林文化を紹介する「森の博物館」(左)と、家具な どのショールーム(中央、右) [画像のクリックで拡大表示]  デザインの特徴は、少し小ぶりのサイズで、女性の手のひらによくなじむ丸い形。
    軽いトチなどの樹を使い、優しく柔らかい曲線にこだわった。
    フォークもスプーンも、柄の部分は持ちやすい緩やかなカーブを描く。
    マグカップは、飲み口より中のほうが広がる「布袋」形。
    木を削るろくろ職人にとっては、内側が見 えるすり鉢型とちがって、内側が広がるので難易度が高いが、優しいアール(曲線)がでるよう、何度も試作を重ねた。
    プレートの縁もただ丸いだけではなく、エッジを作って食べやすさを持たせている。
    プレートなら例えば、トーストしたパンにベーコン添えの目玉焼きとレタスサラダなどを盛り付けるのに使う。  仕上げの漆は、あえてツヤをださない「拭き漆」と呼ばれる技法を採用した。
    ツヤツヤした黒漆や朱漆ではなく、精製していない生漆(きうるし)を塗る。
    磨いた木地に漆をしみ込ませて乾燥させる下準備を経たあと、生漆を手早く均質に塗って、それを繊維の残らない拭き紙で拭き取り、乾燥させるという作業を 繰り返して仕上げる。
    それによって、木の肌の質感が残ったナチュラルな新しいスタイルの漆器となる。  塗りだけでも膨大な時間がかかる伝統的な漆器作りと比べると、簡略化された技法のようにも思えるが、塗って拭く工程だけで一気に仕上げなくてはならず「職人の技量も問われる」(山内氏)という。
    一定の厚みを残して手早く拭き取る加減や、乾燥後の色の濃淡などいくらでも調整しがいのある、奥の深い技 法なのだ 「シェーヌ・ドゥ」シリーズのネストボウルと、アンサンブルにもセットされているトレイに漆を塗る作業。
    磨いた木地に漆をしみ込ませて乾燥させる下準備を経たあと、この生漆を塗って拭き取る工程となる。
    手早く均質に丁寧に塗りあげ、それを繊維の残らない拭き紙で拭き取っていく。
    右下は、温度と湿度が一定に 保たれた「風呂」と呼ばれる乾燥室にトレイを入れるところ [画像のクリックで拡大表示] 塗装を担当する4人の職人のうち、シェーヌ・ドゥシリーズは、若手二人が担当している。
    拭き漆は、厚みを残して拭き取る加減が重要。
    拭きすぎるとツヤがなくなり、残しすぎるとゴミがついたりムラが出る。
    翌日の仕上がりが楽しみだ [画像のクリックで拡大表示]  もともとオークヴィレッジで生産される家具や食器は、表面塗装も天然素材にこだわり、14~15年前からウレタン加工をやめている。
    積み木やおもちゃは無垢のまま。
    家具や食器も天然の植物オイルと漆しか使っていない。
    こうした塗装を担当する4人の職人のうち、シェーヌ・ドゥシリーズは、若手2人が担当し ている。
    そのひとりは、今年高校~大学と漆を勉強してきた女性だ。
    伝統工芸品ではなく「日常で使える漆器が作りたくて」同社に入社したという。
    今後は女性目線で「シェーヌ・ドゥ」シリーズの新製品提案も期待されている。 「シェーヌ・ドゥ」シリーズは単体でも購入できる。
    スプーン1890円、 フォー ク1680円、マグカップ3990円、トレイ9975円、プレート4410円 [画像のクリックで拡大表示]  シェーヌ・ドゥシリーズにはこの「アンサンブル」のほか、ひと回り小さいサイズの「プチプレート」、入れ子にして収納できる「ネストボウル」などもある。
    漆器は陶磁器と比べると、軽くて割れにくく、保温性に優れ冷めにくい。
    また、使い込むほどに漆が透き通って独特な風合いとなり、塗り直してリペアできるので長く 使える。
    こうした木の手触りが残るナチュラルな漆器なら、日常の食卓にも溶け込んで使いやすい。
    親が娘にプレゼントしたり、結婚祝いなどのギフト需要も少なくない fff:

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