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- ID:
- 25689
- 年:
- 2012
- 月日:
- 1029
- 見出し:
- 埼玉で「大工育成塾」…伝統の技、次世代に
- 新聞名:
- 読売新聞
- 元UR(アドレス):
- http://www.yomiuri.co.jp/job/wlb/topics/20121028-OYT8T00434.htm?from=yolsp
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- 記事
-
継ぎ手に金具を使わない伝統的な木造建築技術を次世代に引き継ぐ「大工育成塾」が春日部市豊野町の貸倉庫で開かれている。
全国から集まった、女性を含む20歳前後の61人が、住宅の骨格となる土台や柱、梁(はり)、屋根などの木材加工に取り組んでいる。
塾生たちは、丸太の寸法を金尺で測ったり、かんなやのこぎりで削る場所に印をつける「墨付け」、機械ではなく手で削る「刻み」に取り組んでいる。
岡山県玉野市の藤原宙(ひろし)さん(21)は、「うちの工務店では手刻みをしない。
丸太に穴を開けるのは難しい」と話す
大工育成塾は、同じ名前の一般社団法人が、9年前から熟練の技を次世代に引き継ごうと、国の支援を受けて行っている。
塾では3年間の座学と現場で修業を積んだ後、修了制作として、木造住宅を建築する。
木造建築は、情報技術(IT)で、木材を精密に加工する「プレカット」が普及している。
建築現場では加工された材料を組み上げるだけで済み、工期短縮や建設費の削減ができる。
その一方で、伝統的な木造建築技術は廃れ、継承されなくなったという。
今回、制作に挑んでいるのは、来年3月に修了を迎える塾生。
さいたま市緑区の木造住宅を手がけるため、材料加工を始めた。
30日には建築現場に移り、住宅の土台や柱、屋根などの骨格造りに着手。
11月2日には骨格完成を祝う上棟式を行い、制作を終える予定だ
全国4か所で修業
大工育成塾は東京を始め、全国4か所で開校中だ。
授業料は年間30万~50万円。
入塾後は、自宅に近い工務店で、棟梁(とうりょう)の下、3年間の現場実習を受ける。
ほかに、1泊2日の座学もある。
現在、219人の塾生が修業中だ
募集する塾生は年100人。
年2、3回の募集で、書類と面接などで選考する。
3年間学び終えると、「大工志(だいくし)」の称号を与えられるが、その数は入塾生の半分程度だという。
修了後は受け入れ工務店への就職を始め、宮大工を目指す人もいるという。
伝統的木造建築に携わる大工の減少は深刻だ。
20年間で30万人近く減ったという。
育成塾の中原章・東京事務局長(76)は「伝統的木造建築は、耐震性も優れている。
塾を通じて復権できれば」と話している。
問い合わせは大工育成塾本部(03・3504・6604)へ
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