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- ID:
- 25458
- 年:
- 2012
- 月日:
- 1004
- 見出し:
- チップボイラー稼働 自然エネルギー導入の先駆けに
- 新聞名:
- 紀伊民報
- 元UR(アドレス):
- http://www.agara.co.jp/modules/colum/article.php?storyid=239684
- 写真:
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- 記事
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田辺市下川下の乙女の湯が今年4月、源泉の加温用に導入した木質チップボイラーがようやく9月から稼働した。
毎日約9トンを加温しており、チップの使用量は1日平均1・5立方メートルになる。
チップは龍神村森林組合から仕入れ、同市中辺路町の木材加工場で再乾燥させて使用する。
価格は1立方メートル当たり約4千円。
乾燥させる工程を加えたため、当初の予定より千円アップした。
市は、コンテナによる一括輸送などで経費削減を目指すという。
市は木材資源の活用と二酸化炭素排出削減に向け、2010年に龍神村の龍神温泉元湯と丹生ヤマセミ温泉館にチップボイラーを導入。
中辺路町近露の無料足湯「熊野古道禊(みそぎ)の湯」にも小型ボイラーを設置した。
本年度は約3550万円(建屋建設費を含む)で乙女の湯に導入した。
しかし、チップボイラーはチップの乾き具合や形状の不ぞろいで、運転に支障が出る。
乙女の湯は重油や灯油ボイラーのバックアップがあり、営業には支障がなかったが、代替設備のない禊の湯では故障が頻発。
ボイラー改良のため2カ月半休業した。
和歌山県は木質バイオマス利用の先進地。
04年には龍神村の宿泊施設「季楽里(きらり)龍神」が県内で初めてチップボイラーを採用。
日高川町では10年、全国初となる約30マイクロメートル(マイクロは100万分の1)のパウダーを使うボイラーを導入し、町内3施設で稼働している。
パウダーボイラーは燃焼効率がよく、重油や灯油の約半分。
重油や灯油の価格が1リットル80円の場合、1キロ40円なら採算がとれる。
同町まちみらい課は「コスト的には十分、重油や灯油に対抗できる」という。
同町が御坊市に設置しているパウダー供給拠点では生産量に余裕があり、本年度中に農業用ビニールハウスの暖房にも試験導入する。
成功すると、安定的にパウダーの購入先が確保でき、販売価格を安くすることも可能という。
県産業技術政策課は「チップに比べパウダー関連の機械は割高。
しかし、燃料調達は地域内を基本にしたいと考えており、自治体の判断にゆだねている」と話す。
田辺市は木質バイオマスをはじめ太陽光発電や小水力発電など自然エネルギーの導入に積極的で、本年度は庁内に検討会議を設立。
現在は、2年後の事業化を目指して導入が可能な公共施設をリストアップしている。
その考え方に賛成する。
木材、水力、太陽光、地熱など恵まれた地域の資源を生かし、エネルギーの地産地消を図るまちづくりを目指したい。
しかし、拙速は避けたい。
乙女の湯では、燃料供給のめどが立たないまま入札を実施。
導入したボイラーでは予定していたチップの水分が多過ぎて使えず、再度乾燥させてから使用することになった。
こうした失敗を教訓とし、くじけずに自然エネルギーの開発に挑んでもらいたい
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