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- ID:
- 24746
- 年:
- 2012
- 月日:
- 0709
- 見出し:
- 被災者お父さんたちの製材所 陸前高田市
- 新聞名:
- 朝日新聞
- 元UR(アドレス):
- http://mytown.asahi.com/iwate/news.php?k_id=03000001207070002
- 写真:
- 【写真】
- 記事
-
陸前高田市気仙町で5日、長部製材所が正式に開業した。
汗を流してがれきを撤去するボランティアを見て、お父さんたちが休憩小屋を建てたのが発展し、起業につながった
上長部地区は昨年の大津波で64戸のうち約40戸が流された。
長部川をさかのぼって大量のがれきが押し寄せた。
撤去のためボランティアが連日通った。
地中のガラス片やゴミは夏になっても片付かなかった
休む場所も日陰もない作業を見ていた近くのお父さんたちが「小屋を造ってやろう」と言い出した
9月、数人が山から木を切り出してきた。
元大工の熊谷常八さん(65)が中心になり、10月10日には45平方メートルの丸太小屋が完成した。
屋根は津波の高さと同じにした
お父さんたちのお茶飲み、酒飲み場にもなった。
お母さんたちは干し柿作りに使った。
仲間は十数人に増えた。
左官や山仕事が得意な人がいて、小屋に壁をつけた。
溶接できる人は、がれきの中からボンベを探してストーブをつくった
周囲には、潮をかぶった気仙杉がたくさんあった。
復興期に入ると建築材が求められることが想定された。
製材所を造ろうと、機運が盛り上がった。
今年3月11日、丸太小屋のすぐ隣に120平方メートルの製材所が完成した
機械類は、遠野まごころネットが奔走してそろえた。
廃業した東京の木工所から帯ノコをもらい集塵(しゅうじん)機や移動製材機などを整えた。
様々な団体の助成を受け、加工や仕上げの機器が6月29日に届いた。
200ボルトの電気が7月5日、届くようになった
初日は7人が集まった。
がさがさだった板がきれいに磨かれて出てくると、熊谷さんは「製材所の体裁が整った」と喜んだ
同地区は、流された公民館の再建が進んでいる。
外壁には被災した気仙杉を使う。
板は製材所が作る。
熊谷さんは「まだ採算は取れないが、復興住宅の建設などに役立ちたい」と話している
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