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2011年-木材と鍛えた技 融合 |木製品、木、木工などのネット新聞情報 |木の情報発信基地
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- ID:
- 23172
- 年:
- 2012
- 月日:
- 0113
- 見出し:
- 木材と鍛えた技 融合
- 新聞名:
- 朝日新聞
- 元UR(アドレス):
- http://mytown.asahi.com/saitama/news.php?k_id=11000001201120001
- 写真:
- 【写真】
- 記事
-
ものづくり 熱い思い
額縁の中に、ホタルの形の木工品が3点。
枠を軽くたたくと、尾が赤く光り、しばらく点滅して消える
「胴体は飯能産の西川材で、手足は狭山茶の枝。
内部の半導体や振動センサーで光が点滅する。
大人が面白がって、ほしがります」
飯能市の工房「コンセプトデスク」で、桑原良博さん(63)が話した。
西川材を使い、机、椅子、文具、おもちゃなどを製作。
半導体は、ボード上に赤い点を飛ばす木製レーザーポインターにも組み込んだ
桑原さんは半導体の設計技術者。
小学校6年間を過ごした大阪府で車や船のプラモデルに熱中し、ものづくりに目覚めた。
東京の大手半導体メーカーに就職。
1980~90年代、日本企業の半導体が世界市場を席巻する中、人間の脳の神経回路をモデルにしたニューロコンピューターの開発などに携わ
った
35歳から入間市の仏子ニュータウンに在住。
53歳から勤務先が横浜市と遠くなり、仕事も「やりたいことができない。
消耗した」と感じ、56歳で早期退職をした
しかし、ものづくりへの思いは強く、川崎市で発明起業塾を受講。
山林が荒れている問題を学んだ。
「うちの近くは山。
地球温暖化も深刻だ。
森林資源を生かそう」。
間伐材を利用し木を育てるNPO法人「西川木楽会(きらくかい)」に入会した
06年春、会員約10人と飯能市の山林に初めて立ち入った。
高さ20メートル前後の弱々しい木がうっそうと繁茂し、日光が林床に届かず、下草のない地面はゴツゴツで固かった。
「間伐をしないから根を張る太い木が育たず、土砂が流れやすい」と実感。
08~10年、会計としても木楽会を支えた
工房では、温暖化対策の思いを込め、商品に二酸化炭素の固定量を明示。
受注生産「プロ用デスク」の固定値は25キログラムだ。
椅子や文具に間伐材を使う
木楽会代表で1級建築士の吉野勲さん(62)は「山形県金山町は100年先を見据え、町産杉の住宅で街づくりを進めている。
飯能でも子供たちに良い木を残し、職人を育て、技と文化を伝えたい」。
同じ団塊世代の桑原さんには「緻密(ちみつ)に図面を書き、ものを作る感覚が違う」と半導体で鍛えた技に
注目する
会員約110人のうち、団塊世代は20~30人という。
最も多い60代後半に次ぎ、これからの活動を支える存在だ
桑原さんは05年、飯能市などの講座でも起業を学んだ。
講師をした中小企業診断士粕谷健治さん(67)は「団塊よりも上の世代は、自分の経験の延長線上で事業を興す人が多い。
団塊は自分と経験の違う畑でも、ある程度リスクをとる。
事務系の会社員から農業に進んだ人や輸入品取引に転じた人も
いる」と指摘。
「桑原さんは地球温暖化対策が思いの中心にあり、しぶとくぶれずにやっている」と期待を込める
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