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2011年- 地元産木材活用めぐり |木製品、木、木工などのネット新聞情報 |木の情報発信基地
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- ID:
- 50981
- 年:
- 2011
- 月日:
- 0711
- 見出し:
- 大野市誘致製材会社に期待と不安 地元産木材活用めぐり
- 新聞名:
- 福井新聞
- 元UR(アドレス):
- http://www.fukuishimbun.co.jp/localnews/politics/29164.html
- 写真:
- 【写真】
- 記事
-
大野市が1年前に誘致した木材加工会社「ファーストウッド」(本社福井市)の大野工場が今春、一部操業を開始して3カ月がたった。
雇用促進や林業25
件振興など地域、産業にもたらす期待は大きい。
一方で、地元の林業関係者からは、事業拡大に伴う原木価格や経営への影響を懸念する声が出ている。
秋の24時間フル操業を前に、現状と課題を探った。
(大野支社・土山実穂)
■待望の誘致
懸案だったツヅキボウ福井大野工場跡(同市七板)の土地と建物売買で市がファーストウッドと仮契約したのは昨年6月18日。
繊維産業が衰退し、雇用の低迷が続く大野市にとって待望の明るい話題となった。
直後の定例市会でも、売却の経緯を問われた理事者(産業政策課長)は「立地計画では、操業時に新規雇用者100人が見込まれている。
非常に意義があり、林業25 件振興、産業活性化につながる」と期待を込めた。
市は建物と土地の購入費(8300万円)と屋根修繕、調整池整備工事費、それに伴う設計委託料など計1億3850万円の補正予算を盛った。
■秋にフル操業
大野工場は4月から、建築用材料を事前に加工するプレカットと集成材の一部操業をスタート。
7月7日からは、製材時に出た端材で造作材を生産するリサイクル事業が加わり、全ラインが本格稼働した。
作業に当たる社員約70人の約8割は大野市民。
9月には増員し、約200人態勢で24時間フル操業を開始する予定だ。
現在約40人が福井工場で研修を受けている。
中山隆夫工場長は「5年目を迎える福井工場に1年で追いつきたい」と意気込んでおり、月産600棟分のプレカット、6千立方メートルの集成材を年内の製造目標に掲げる。
■採算取れない
大野工場は現在、北欧や北米などからの輸入材を使っている。
しかし「県産材を活用するために今後、本社工場のように(原木を仕入れ、皮はぎなどを行う)製材部門を持つ可能性もある」(中山工場長)という。
同社の生産規模は国内最大。
製材部門の機械を備え、原木から扱うようになると、地元産材の仕入れが予想される。
その際、懸念されるのが価格競争だ。
大野、勝山両市の5万6700ヘクタールを経営面積とする九頭竜森林組合の馬場功組合長は「原木コストが高騰し(同社と)同じ値段で仕入れていたら採算は取れない。
経営を圧迫するのは確実」と危惧する。
同組合は昨年7月、岡田高大市長と同社の山田明社長に配慮を求める要請書を手渡した。
■税収8千万
要請に対する市の回答はなく、別の林業25 件団体は「将来的に摩擦が起きるかもしれないのに、市から契約についての説明が一切なかった」と憤りを口にする。
市は試算で年間約8千万円の税収のほか、原材料調達、地元企業への業務発注など「相当の額」の経済効果を見込んでいる。
地元業者の理解、協力が得られればその効果も膨らむ。
民間同士の話とせず、市には橋渡し役を期待したい
原木調達をめぐっては地元産材を大量に安定的に供給できるか、疑問もある。
ただ、荒廃する山から木を切り出すチャンスととらえ、地元林業者も安定供給に向けた努力が必要だろう。
87%を森林が占め、生活用水のほとんどを地下水に頼っている同市。
森林の保全、資源の活用へ、市、企業、林業25 件団体の連携が求められる
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