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ID:
50347
年:
2011
月日:
0423
見出し:
学校林の木材で体育館、地産地消を実現 高島の朽木中
新聞名:
朝日新聞
元UR(アドレス):
http://mytown.asahi.com/areanews/shiga/OSK201104230143.html
写真:
【写真】
記事
賀県高島市朽木地区の朽木中学校で、生徒たちが代々受け継いできた「学校林」の木材を使った体育館が完成した。
住民らが専門家と一緒に構想を練り、山口県岩国市の木造橋「錦帯橋」の技術を採り入れたアーチ型の大屋根を卒業生の大工らが組み立てた。
全国的にも珍しい「地産地消」型の取り組 みが実を結んだ ■卒業生の大工ら組み立て 3月12日、同体育館で完成を祝う式典が開かれた。
朽木中出身の田中健さん(42)は「4年かけてやってきた。
感無量です」。
朽木東小5年の前田晴菜さん(10)も「体育館はとても大きくて、木の甘い香りがした。
使うのが楽しみ」と笑った。 2005年に市町村合併で高島市になった旧朽木村は、林業が主産業。
朽木中は生徒数51人で、約60年前から、学校から約3.5キロ離れた村有林の一部を「学校林」(8.7ヘクタール)として管理し、枝打ちや下草刈りなどの体験学習をしてきた。
卒業生の1人で、学校近くに住む鎌田智恵子さん(52) は「学年全員で自転車で森に行き、手ぬぐいを首にかけ汗だくで草刈りをした」と振り返る。
父や夫、4人の息子も同校出身だ ■全国19カ所視察 新体育館の計画が浮上したのは6年前。
朽木中と隣接する朽木東小学校(児童数99人)には、それぞれ築30年以上の体育館があったが、老朽化が進んだこともあり、共用の新体育館に建て替えることになった。 林業振興を掲げる市は、地元の木材を使った体育館の新築を目指し、07年春に校長や保護者、卒業生ら31人による検討委員会を設置。
当初は、耐震性など木造構造の強度に不安の声もあったが、バスを借りて茨城県から熊本県まで全国計19カ所の木造施設を視察。
耐震工学が専門の大学教授 らと勉強会を重ねた。
委員長を務める元村長の玉垣勝さん(74)は「初めは半信半疑だった。
視察して少しずつ光が見えてきた」と話す ■生徒も手伝い 一帯は県内有数の豪雪地帯。
検討委では、深さ170センチの雪の重みにも耐えられることを条件に、設計を全国公募した。
その結果、東京都の設計会社が提案した「錦帯橋」で使われている「持ち送り重ね梁(はり)」と呼ばれる伝統の木造工法を採用した。
アーチ型の大屋根を、鉄筋コンクリートの本体 が支える構造だ 大屋根など使われる木材1600本は、すべて地区内の木を使うことにした。
このうち学校林からは樹齢50~80年のスギ400本が伐採され、生徒もヘルメットをかぶって木の皮をむく作業を手伝った。
09年9月に着工した。 ■重りで強度確認 工事には地元の大工を中心に延べ2千人の職人が携わった。
屋根づくりを担当した雅技研の沢田雅明さん(47)に声がかかったのは昨年2月だった。
母校の体育館建設に胸が躍ったが、全国的にも珍しい複雑な構造に不安もよぎった。
だが、代々受け継がれた学校林の木を扱うことに「一生に一度の機会 」と覚悟を決めた。 材木の長さを正確に測り、切断するのは熟練の技を要した。
果たして雪の重みに耐えられるのか、実際に屋根に12トンの重りをぶら下げて強度を確認した。
昨年9月、出来上がったばかりの高さ12メートルの屋根に上った。
高台にある中学校から地区全体が見渡せた。
「何世代にもわたって育ててきた木 が体育館としてよみがえった」 体育館は、小中学生が同時に使えるためにサブアリーナを併設し、小学校とを結ぶ渡り廊下も設置された。
同中1年山本実瑠季(みるき)さん(12)は卒業式を新しい体育館で迎えた。
「おじいちゃんが植えた木を使っているので不思議な感じ」と話し、同東小2年西川花厘さん(7)は「大事に使いたい」と笑顔 を見せた。
今春卒業した梅本匠さん(15)は「これからも朽木の森にかかわっていきたい」と目を輝かせた。
(浅野有美) fff:
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