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- ID:
- 48679
- 年:
- 2010
- 月日:
- 1115
- 見出し:
- 柿の古木、今年も秋色 加須の関根さん方
- 新聞名:
- WEB埼玉
- 元UR(アドレス):
- http://www.saitama-np.co.jp/news11/14/07.html
- 写真:
- 【写真】
- 記事
-
秋の色をその実に濃く映す柿。
加須市大越の関根久子さん(86)方の庭には、地元では有名な古木がある。
枝の上から利根川の向こう、茨城県古河市の街並みまで見渡せたという大木だ。
家族と近所でともに収穫を祝った思い出の柿の木に、今年もたわわに実がなった。
高さ20㍍、幹回りは2㍍近くあるだろうか。
張り巡らされた枝の先には、ちょうど食べごろに熟した実。
「樹齢600年という言い伝えを聞いたことがある。
私がお嫁に来た時からほとんど変わらず、毎年こうして実を付けてくれる」と関根さん。
市から文化財指定の話を打診されたこともあるという。
3年前、庭の手入れで関根さん方を訪れた近所の立岡勇さん(66)は「真下に立つと、見下ろされているような感じ。
あんなに立派な柿の木は見たことがない」と振り返る。
秋になると、関根さんの夫、故誠善(しげよし)さんが柿を収穫した。
はしごを使って木に登るが、「上の方が甘いから」と、途中ではしごを掛け足した。
それくらい高かった。
「古河の街がよく見える」。
枝の上から臨む絶景を、よく関根さんに語った。
敷地内にある柿の中でも、古木の柿は特に甘くておいしいと評判だった。
皮をむいて食べたり、サラダに入れたり、近所へのおすそ分けも喜ばれた。
夜中に若者が忍び込み、盗みに登ったこともある。
柿の枝は折れやすい。
その時は「落ちると大変だから、うちのおじいちゃんが槍(やり)を持ち出し、木から下りるよう説得した」という。
もう50―60年前の話だ
3人の息子は独立し、関根さんは1人暮らし。
近所でも柿を食べる人は減った。
「皮をむいたり、種を取るのが面倒くさいのかねぇ」。
たまに息子たちが帰省した際に低いところの実を採るくらい。
「後はカラスさんが喜んで食べる」。
木の上にはオレンジ色が密集している。
「昔はみんなでこの柿を食べたけど、最近は誰も採りに来ない。
寂しいね」と関根さん。
悠然とそびえる古木に、懐かしい思い出を重ねた
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