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    ID:
    47928
    年:
    2010
    月日:
    0929
    見出し:
    徹底した“木”へのこだわりに耳の肥えた参加者達から驚嘆の声、大盛況のウッドコーン体験イベントに潜入取材
    新聞名:
    サーチナ
    元UR(アドレス):
    http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2010&d=0928&f=entertainment_0928_008.shtml
    写真:
    【写真】
    記事
    アーティストのイメージに沿って創りあげたオリジナル・マスターテープ“原音”を可能な限り忠実にリスナーへ届けたいという“原音探究”への願いから、日本ビクターでは2003年に、優れた音響特性を持つ“木”そのものを振動板に採用した独自の「ウッドコーンスピーカー」を搭載したシステムコンポ「EX-A1」を発 売。
    以来、同社ではスピーカーの2ウェイ化や単品スピーカーの発売など、「ウッドコーンスピーカー」搭載商品のラインアップを拡充してきた。
    そんな中、9月12日にJVCケンウッド丸の内ショールームで耳の肥えた音楽好きの参加者達が参加するウッドコーン体験イベントが開催されるとの情報を入手し、潜 入取材を試みた。   開始30分程前に現地に到着したが、すでに会場には人だかりが出来ており、参加者達の意識の高さを感じさせる。
    案内された参加者達に混じって、セッティングされたウッドコーンの前に着席すると、日本ビクター開発担当・今村氏が登場。
    最初「ウッドコーン」と聞いた時に何故“木”なのか疑問に感じたが、 振動板に“木”という素材を用いた理由は、徐々に明らかにされていくのであった。   スライドには“木”がもつ3つの特長として「木の自然な響き」「木の物性的特長」「異方性の伝搬性質」との説明が映し出された。
    その説明の中で、「内部損失」と「伝搬速度」の関係を示したスピーカー素材の物性値を表す図では、音の伝わりが速く余分な振動も適度に吸収する“木”の座標位置に対して 、“アルミ”は伝搬速度は速いが内部損失が低く、従来使用されていた“紙”は伝搬速度が遅く、“ポリプロピレン”は伝搬速度も遅く内部損失も大きい座標に配置されている。    また、何層もの年輪を重ねる木に“木目”が存在することはご存知の通りだが、樹脂等の均一素材に対して、木は木目の方向によって音の伝わり方が異なるため、振動板に発生する共振を低減する役目を果たし、自然で滑らかな響きを実現するという。
    これらの説明によって、理論的には木が他の素材と比 べて音の響きが理想的であることが理解できたが、正直な所は半信半疑だった。   すると、今村氏はゴソゴソと各々の素材見本を取り出した。
    実際に“木”の響きが他の材質とどのように異なるのかを実証するため、用意したのは樺(かば)の木、アルミ、プラスチック(ABS)、ポリプロポレンの4種類。
    冬に遠くから聞こえてくる「火の用心」の拍子木の音を聴いた記憶があるが、自然な音を響 かせる木に対して、アルミは耳鳴りのように余韻がいつまでも耳に残り過ぎ、プラスチックは音が濁って無機質に味気無く聴こえ、ポリプロピレンはプラスチック以上に味気無く余韻も無く響かない印象であった。
    試しに自分の身の周りの物を軽くノックしてみていただきたい。
    素材の違いによってその響きは全く異なり 、木を叩いた時に最も自然な響きを感じるだろう。   さらに、これら“木”がもつ3つの特長を最大限に発揮するために、日本ビクターがウッドコーンと共に歩んできた様々な進化の足跡に驚かされた。
    その進化の過程について、2003年に発売した「EX-A1」と昨年9月に発売したトップモデル「EX-AR7」との音の進化を聴き比べるため、鳥のさえずりや川のせせ らぎなどの音源を「EX-A1」と「EX-AR7」で比較試聴してみる。
    聴き終えると参加者達から「再生の音圧レベルは一緒ですか?」との質問が飛び出す程その違いに驚いた様子で、今村氏の「最初EX-A1もいい音だと思ったけど、EX-AR7はここまで進化したのかと思われませんでしたか?」との質問には、 誰もが納得の表情でうなずいていた。   続いてスピーカー内部のカットモデルなどが登場し、更なるウッドコーンのこだわりに迫る。
    EX-AR7はスピーカー部が(W)120mm×(H)161mm×(D)264mmと省スペースでの設置が可能だが、そのコンパクトサイズのために一見すると頼りなく感じる人もいるかもしれない。
    しかしながら、ウッドコーンの原 点とも言える小型フルレンジスピーカーは、点音源に近いため音が球面波で空間を伝わり、音場感・空間の広がりを上手く出すことができるのだ。
    その上で、スピーカー容積と比例関係にある低音を増強するために、スピーカー前面の面積を変えずに振動板を8.5cmから9cmへと5mm拡大。
    一方で、キャビ ネットの奥行きを深くすることで容積を約11%拡大するなど、更なる高みを追求して細部での繊細なチューニングが施されていることに改めて驚かされた。   そして“木”の「異方性の伝搬性質」を活かし、EX-AR7は振動板の表面に音場拡大と解像度を向上する4枚の“異方性振動板”を加えたことにより、前・左右方向の音圧を上昇。
    徹底した“木”へのこだわりは、更なる高音質を求めて従来クラフト紙で作られていたコイルボビンに、ウッドコーンと同じ樺材を 使用したことで感じ取れる。
    そのボビンを形成するわずか80μmまで薄くスライスされたウッドシートは透けて見えるほどで、職人の魂をまざまさと感じた。   また、キャビネット内部にはチェリー響棒を配置し、底板部分には竹響板を装着することにより、重心の低い低音再生を実現。
    音場のスケール感も飛躍的に向上している。
    吸音材もフェルトや羊毛などの繊維系から木のチップへと変更し、更に同じ木材でも吸音率の異なるチェリーからメイプルへと変更する など、内部構造にも様々な改良が施されている。   進化はスピーカーユニットだけにとどまらない。
    アンプ部にはトッププレートとアークベースに木製ボードを搭載することにより振動を低減。
    更に、真鍮無垢削り出しのインシュレーターを物体が最も安定する3点支持で取り付け、濁りのない重厚な低音再生を実現した。
    ラインアップの中で天板にまで“木”が使 用されているのはEX-AR7のみで、フルレンジタイプのトップモデルとして、オーナーの所有満足度を高める演出も同時になされていることが心憎く感じた。   他のオーディオメーカーと異なり、多数のアーティストが所属し、東京・青山にスタジオをもつ同社では、アーティストの想いを伝えるソフト制作と、そのソフトの感動を伝えるハード制作とが連携することにより、アーティストの想いをリスナーにより忠実に伝えることが可能となる。
    別の機会でビクタースタジオを訪 れたことがあるのだが、実際に各スタジオやミーティングスペースにはウッドコーンが設置され、最終確認用として使用されており、高品位な再生音が“業界標準”と呼ばれるほど耳の肥えたスタジオエンジニアにも高く評価されているのだ   第2部では、続いて今村氏より、ウッドコーンの成形に成功した開発秘話などが明かされた。
    振動板の素材として“木”が理想的であることは前述の通りだが、 “木”には変形しやすく割れやすいという大きな問題があった。
    プレス成形で振動板の中央部分が割れてしまうという難題に直面し、頭を抱えていた 時、とある飲食店で日本酒に一晩浸けたことによってゴムのように柔らかく伸びるスルメに着目。
    そのスルメにヒントを得て研究を重ねた結果、日本酒に含まれるグリセリンやブドウ糖などの成分がもたらす保水効果によって、プレス成形に成功することができたという。   しかしながら成功への道のりはまだまだ険しく、高温多湿な環境において、成形した振動板が変形してしまうという更なる難題に直面。
    4年にも及ぶ試行錯誤の末、振動板に塗る熱硬化性樹脂の濃度、プレス温度、プレス時間の調整を重ねて、木の音色を残しながら変形を押さえることに成功したという。
    まさ に“原音探究”に掛ける開発者のたゆまぬ努力と熱い情熱を感じたエピソードだった。 fff:

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