v11.0
- ID:
- 46174
- 年:
- 2010
- 月日:
- 0528
- 見出し:
- 大きな色鉛筆 大きな夢描こうよ
- 新聞名:
- 朝日新聞
- 元UR(アドレス):
- http://mytown.asahi.com/kochi/news.php?k_id=40000001005270003
- 写真:
- 【写真】
- 記事
-
大人の背丈ほどもある大きな色鉛筆が道路沿いの庭に立っている。
赤や青、緑、黄色など計19本。
中土佐町大野見吉野の本沢啓朗(けい・ろう)さん(67)、美和子さん(60)夫婦が間伐材を削り、色を塗って作った。
「子どもが減り、街の灯(あか)りが消えてきた。
見た人が色鉛筆に夢を乗せて、少しでも笑
顔になったら」。
そんな願いを込めて自宅の庭に並べている。
(大蔦幸)
きっかけは2009年2月。
当時、美和子さんが用務員をしていた町立大野見北小学校であった学習発表会だった。
過疎化のため、同校が約1カ月後に廃校されるのを前に、女子児童3人が「テストとエンピツ」という歌を披露した。
国語や算数、社会のテストで15点や0点を取るのは鉛筆が悪いと歌った曲で
、子どもたちのかわいい姿が印象に残った
その後、美和子さんは、その時の様子を録画したビデオを見返しているうち、初めてラブレターを書いた時や受験の時などに、鉛筆が身近にあったことを思い出した。
「大人は鉛筆を見たら、鉛筆で夢を描いてきた子どものころを思い出すでしょ」と当時の心境を振り返る
「大きな鉛筆を庭に並べたら、きっといろんな人が笑顔になれる」。
美和子さんから相談された啓朗さんは、同年秋から日曜大工の腕を生かし、色鉛筆作りに取りかかった。
自分の山から集めてきた間伐材を電動カンナで鉛筆の形に削り、美和子さんがペンキを塗った
長さは50センチから1メートル50センチまで様々。
根元に鉄パイプを埋め込み、それを地面に刺して庭に固定した。
表面の色と芯の色を変えたり、表面を水玉模様にしたり、楽しみながら作った
しばらくすると、啓朗さんも夢中になった。
「鉛筆を作っていると、なぜか学生時代のほろ苦い思い出や初恋の淡い記憶がよみがえってね」
最近は、登校途中の子どもたちがうれしそうに見ていく。
「記念撮影していいですか」と老夫婦が訪ねてくることもあった
今年で用務員を定年退職する美和子さんは話す。
「子どもたちが年々減り、不景気で誰もが生活のためにもがいている。
そんな時代だからこそ、いろんな願いを込めて色鉛筆を作っています」
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