ID : 15460
公開日 : 2010年 3月25日
タイトル
常識覆す 木の復権 東京・新木場「木材会館」
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新聞名
朝日新聞
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元URL.
http://www.asahi.com/culture/news_culture/TKY201003240262.html
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元urltop:
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写真:
写真が掲載されていました
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「常識」と思われてきたことが覆される話は、人々の関心をぐっと引き寄せる。東京の新木場駅前に昨夏完成した「木材会館」は、そんな建築といえる。16日に開かれた同会館を巡るシンポジウムも、熱気に包ま
れていた。
この建築は、オフィスビルなのに、ツルツルのガラスで包まれているわけではない。打ち放しコンクリートの縦じまの間を、木製のテラスやひさしが描く格子がモンドリアンの絵画のように結び、彫りの深い表情を見せる
。
同時に、建築関係者は、外側にこんなに木材が使えるのか、と驚かされた。建築基準法のもと、都市での木材の使用は基本的に大きく制限されてきたからだ。そんななか、施主の東京木材問屋協同組合は、大手設計事
務所の日建設計に内外に木材を使うことを依頼。「都市建築における木の復権」がテーマになった。
設計チームを率いた日建設計・設計部門副代表の山梨知彦さんは、同会館でのシンポで「薬剤で不燃化した木を使えば簡単だが、重くなり、ぬくもりもない。自然のままの木材を使いたかった」と語った。しかも建築基準
法は2000年に、耐火に関して一定の性能を満たせば木も使えるように改正されていたという。
主たる構造はコンクリートと鉄に任せ、火が出ても上階に燃え移らない、煙がたまらないといった点をクリアし、ひさしやテラスなどに木を使うことになった。
シンポでは建築評論家の馬場璋造さんを「目から鱗(うろこ)」とうならせたが、それをできるだけ普通に造ろうとしたという。木材は規格品だし、将来取りかえや再利用可能なように接着剤は使わず、金物でとめている。
アクロバット的な新技術があるわけでもない。「同じような木の建物が一つでもできれば、この建物への評価だと思う」と山梨さんは話す。見栄えでは、「新築時が一番美しい」というオフィスビルの「常識」に対し、経年変化
を意識。木は次第にグレーに、コンクリートは黄ばんでゆく可能性が高いという。そして両者が生み出す、強いファサード(正面)。日本の現代建築は外観を透明化する傾向が強いといわれるなか、「モンスーン気候の東京
でツルツルのファサードでは限界がある」と山梨さん。「都市建築におけるファサードの復権」の試みでもあるのだ。
湿潤な気候のなかで、表情を変えていくであろう木材会館。追随者の有無も含め、本当の評価を下せるようになるのは、10年以上先のことかもしれない。
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