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川西市北部の黒川地区は、古くから高級木炭の産地として知られ、豊臣秀吉が称賛したという高品質の伝統が息づく。名高い炭を生み出す元となる里山の環境を守ろうと、新たな動きも活発だ。山里には今日も、
炭窯からの煙がたなびいている。
(田中靖浩)
今西勝さん(70)は九日、今季初めて焼き終えた炭を窯から出した。辺り一面を霜が覆う早朝、百度近い熱気が残る窯から出てきた今西さんは汗まみれ。全身から湯気が立ち上る。「(できは)まあまあやな」。炭で真っ
黒になった顔をタオルでぬぐった。
今西さんの炭は茶席で湯を沸かす際に用いられる。火付きがよく、はぜず、焼けた後の灰の色が粉雪のように淡いことが求められる。切り口の形が菊の花を思わせることから「菊炭」とも呼ばれ、秀吉のころには既に名
声を博していたとみられる。江戸時代にかけて大阪・池田が集荷地だったことから全国的には「池田炭」として知られ、各種文献で最上の炭とたたえられた。
黒川地区周辺では昭和三十年代まで、大半の農家が炭焼きを農閑期の副業としてきた。しかしガスや電気の普及に伴い急激に廃れ、数年前に今西さんが市内唯一の炭焼き農家に。将来は長男の学さん(37)が跡を継
ぐ。
「炭を焼く頻度が少ないため、冷めた窯から焼き始めざるを得ない産地もあるが、それではよい炭はできない」と今西さん。「良質の炭は良質のクヌギから」と、原木の育成や森の環境整備の大切さも訴える。
今西さんの声に応えるように、同地区では里山整備を手掛ける複数の団体が定期的に活動する。阪神地域の定年退職者ら三十人による森林ボランティア「菊炭友の会」は、共有林約五ヘクタールを手入れし、自生する
桜の一種エドヒガン(県レッドデータブックCランク)を守る。
同会の特徴は自前の窯で炭を焼き、まきとともに販売する点だ。「必要な分だけ木を切って炭を焼き、得た資金で山を手入れする。林床に日が差し込んでさまざまな植物が芽吹き、多様な動物がやってくる」と代表の大
門宏さん(67)。
兵庫県立人と自然の博物館の服部保自然・環境再生研究部長は「菊炭の優れた品質、美しい山の風景、生物の多様性…。こんなに多くの特徴を備えた里山はほかにない。日本一の里山です」と高く評価している。+/div
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