ID : 4168
公開日 : 2007年 6月22日
タイトル
ロシア、乗っ取りビジネス横行 ルールなき資本主義
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新聞名
産経新聞
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元URL.
http://www.sankei.co.jp/kokusai/world/070623/wld070623000.htm
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写真:
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フランスの国内総生産(GDP)を2年以内に追い抜く-。膨大なエネルギー資源を背景に中国、インド、ブラジルとともに新興市場国、BRICsの一角を占め、こんなかけ声すら政府から飛ぶロシアで、企業や資産
を平然と乗っ取る“ルールなき資本主義”が横行している。今や、乗っ取りこそが最ももうかる“ビジネス”とされ、手口は腐敗した司法・官僚機構を巻き込んで巧妙化の一途をたどる。同国内で活動する外国企業もその脅
威と無縁ではない。
企業乗っ取りの起こりは1920~30年代の米国だとされる。だが、ソ連崩壊後のロシアに訪れた乗っ取りブームは規模と手口において他にあまり類例を見ないだろう。ある調査によれば、ロシアの企業家の半数以上が「
乗っ取りに直面した経験を持つ」と回答している。
憲法裁判所のオブチンスキー長官補佐官(組織犯罪担当)によると、90年代にまず現れたのは、武装集団が企業を占拠する手荒なやり方だった。その後、狙いを付けた企業に多額の債務を課し、破産法の不備を突い
て所有権を移転する手法が流行し、今や、買収された裁判官、税務当局、治安機関などがつるんで乗っ取りグループを形成するケースが主流だという。
例えば、カネで抱き込んだ税務当局が「税務調査」と称して家宅捜索や資産没収を仕掛け、裁判官がニセの「決定」を下す。登記当局が偽造文書を作成、警察・検察まで味方につければ、障害は何もないというわけだ。
知事や市長といった権力者が関与することも珍しくなく、乗っ取り屋が表向き、普通の投資会社を名乗っていたりもするから、始末に負えない。
実際、サンクトペテルブルクでは昨年、同市の石油ターミナル(時価6億ドル=約741億円)など多数の企業を狙った乗っ取りグループの44人が摘発され、その中には税務当局者や警官など公務員多数も含まれていた
。
同補佐官は「わいろに数十万ドルを投じても、しかるべき文書を押さえて乗っ取りに成功すれば、数億ドルに化ける。乗っ取りは今や、最小限のリスクで最大限に稼げる組織犯罪だ」とし、「表面化するケースは少ないな
がら、外国企業も標的になっている」と強調する。
こんな状況に至った背景のひとつには、エリツィン前政権による国有資産の民営化が急激かつ不透明な形で行われたことがある。その際、一握りの者が破格の安値で資産を手にしたことが不公平感を生み、私有財産
や所有権を尊重しない土壌が生まれた。法制度の整備も乗っ取りに対して、後手後手に回り続けた。
さらに、乗っ取り屋はここにきて、軍需産業にまで触手を伸ばすようになっており、プーチン政権は安全保障の観点からも危機感を強めている。
ミサイル部品製造企業が被害に遭うケースも発覚、政府は今秋にも、乗っ取り対策を強化した一連の刑法改正案を議会に提出する方針を固めた。
オブチンスキー補佐官は、「ロシア経済に潜在力と魅力があるのは確かだが、組織犯罪や汚職といった構造的な問題はかなり危険な水準に達している。このことが正常な経済発展を阻害しているのは明らかで、早急
に厳しく対処することが不可欠だ」と話している。
「日本への木材独占販売権奪われた」
日本のロシア専門商社「大陸貿易」(東京都港区虎ノ門)の吉冨正幸社長は産経新聞の取材に対し、ロシア・イルクーツク州に設立した木材加工・販売の日露合弁企業をめぐり、「ロシアの合弁相手に日本への木材の独占
販売権を奪われた」などと語った。大陸貿易は合弁相手による事実上の乗っ取りとみて、日本政府に対応を求めている。
同社とロシア側合弁相手は2003年、50%ずつを出資し、「シブエクスポルトレス大陸」(SEL大陸)を設立。吉冨社長によると、同社の定款には、「大陸貿易が日本への独占販売権を有する」と明記されていた。
ところが、ロシア側合弁相手は昨春ごろ、ロシアの別の企業グループに独断で身売りし、新たな合弁相手となった企業グループは昨年10月、別の会社を起こして、そこに木材を横流しし始めた。
大陸貿易はSEL大陸設立時、500万ドルを投じて木材加工の最新設備を整え、年に8万立方メートルの加工木材を同社から約28億円で買い付け、日本国内に販売してきた。だが、今では、ロシア側合弁相手が日本国
内の木材輸入会社と直接契約して納入、“大陸貿易外し”の状態に置かれている。
吉冨社長は「巧妙な形の乗っ取りだと考えている。日本側の輸入競争が乗っ取りを促している面もある」と話している。
大陸貿易が1987年に初の日ソ合弁企業として設立した「イギルマ大陸」も2004年以降、現地税務当局から脱税などの疑いで訴えられ、昨年末、追徴課税4000万ルーブル(約1億8000万円)の支払いを命じる1審
判決を受けている。
1993年には、ロシア側との合弁で極東のサハリン(樺太)でホテル経営に進出したものの、「資産を乗っ取られる形で経営から手を引いた」(吉冨社長)という。
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