ID : 3369
公開日 : 2007年 4月 3日
タイトル
隈研吾氏に聞く現代の日本建築
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新聞名
慶応塾生新聞
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元URL.
http://www.jukushin.com/article.cgi?k-20070404
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元urltop:
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写真:
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街中で歩き疲れたとき、みなさんはいつもどうしているだろうか。周りを見渡せば雑居ビルばかり。カフェに立ち寄っても長居はできない。「そんなときに都会の中の『居間』として、みなさんが何時間でも寛げる
空間を作ろうと心がけた」と話すのはサントリー美術館を設計した慶應義塾大学理工学部教授の隈研吾氏。サントリー美術館は赤坂見附から、3月30日に六本木にオープンする東京ミッドタウンに移転し、再スタートを切
る。今回は隈氏のお話に従って、サントリー美術館に見る、現代の日本の建築について注目してみよう。
「従来、美術館は生活の外にあるものだと考えられてきた。しかし、居間にくつろいでアートを見ることができるように、自分とアートがフラットな関係をつくれる美術館にしようと思った」と、隈氏は話す。「居間」を実現す
るためには、素材が重要なカギとなる。サントリー美術館は石や金属などの冷たい素材ではなく、生活の中にある木や紙などの自然素材が多く用いられている。細かく見てみると、床にはサントリーのアイデンティティと
いうべきウイスキーの樽の木材を再利用して作られている。ウイスキーが染み込んだ木材はなんとも味わい深く、且つ環境にも優しい素材だ。天井や壁には湿度調整ができ、殺菌作用がある桐を使用している。壁には
和紙も使用しているが、ロールサイズの大きな和紙ではなく、人間の体の寸法がわかるようにと、手ですいたサイズの和紙を何枚も貼り合わせている。
「居間」には素材だけでなく、日本で古くから工夫されてきた伝統的なアイデアも取り入れられている。一番大きなギャラリーの壁は「無双格子」でできているのだ。2枚の大きな格子が電気でスライドして開閉し、光の微
妙な調節を可能にする。
ガラスがなかった昔は、格子を使って外からの光や風を上手く調節していたのだ。この「日本の伝統」と「現代のテクノロジー」を上手に織り交ぜて「居間」は構成されている。隈氏は「日本は富を誇示するような建築より
も自然に優しい建築を大切にしてきた。日本の伝統的な建築のなかのサステイナブル(持続可能)なデザインは世界が注目している。サントリー美術館はそういった日本の環境美術を世界に見せる場として機能するだ
ろう」と語る。 そして、隈氏は「建築家は、図面を上手に描けるよりも、コミュニケーション能力が大切だ」という。建築は建築家一人が作るものではなくクライアントと話し合い、使う人のことを考えて作るものだ。話
す相手の真意を読み取り、また相手を説得させる能力が必要なのだ。それは、同時に相手に対する想像力を必要とするものだ。実際にサントリー美術館のカフェも多くの人と話し合った結果、料理に合わせて、訪れる人
が五感で心地よさを感じられるような空間を演出している。
人、もの、お金、情報の目まぐるしい流動に疲れたら「居間」で心と体を休めてみよう。大切なことに立ち戻り、また新たな一歩を踏み出せるだろう。
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