修羅(すら)のなかでもとくに古い手法の一つに算盤(そろばん) 修羅がある。
矢遠や
架線の出現で姿を消し現在ではその 名を知る人さえ少ない。
80歳を超えている私自身 、昭和初期に二度、経験したくらいで、しかもそのころすでに姿を消しつつあった。
二度の経験と、そのとき先輩たちから聞いた話をもとに算盤修羅を再現してみる。
私が経験した算盤修羅は二度とも滝の上での出材に 従事していたときである。
身体ひとつで歩くことさえも 危険なうえ、傾斜も急であり、だれの目にもふつうの 修羅や木馬での搬送は不可能にみえた。
そこで最も適した手法として算盤修羅を用いた。