【93】やどりぎ
寄生木やしづかに移る火事の雲
(水原秋桜子)
やどり木と思い出でずば木の下の たびねも如何に寂しからまし
(源氏物語)
常緑低木の寄生木。
高さ50cm、北海道、本州、四国、九州、朝鮮半島、 中国大陸に分布する。
エノキ、ケヤキ、ニレ、アカシデ、クリ、ブナ、ミズナラ、カシワ、クワ、ヤナギ、サクラ等、落葉広葉樹の枝上にはえている。
寄生植物の根は宿主の木に深く食い込み、養分をえている。
地中に伸びるような、ふつうの根はもっていない。
私の郷里、紀州御坊の日高・別院に直径3mもある大きな老銀杏の木があり、冬、葉がすっかり落ちた枝上に青い葉をつけた「やどりぎ」だけが生々としているのを見つけて秋には黄色の葉をたくさん落としてくれてその葉を集めて角力をするのが楽しみであったので、やどりぎに今にも養分をとられてしまって枯れるように思え取ってやろうと何度も試みたが、樹が大きく枝下が高くなきらめて眺めるばかりであった。
最近訪ねてよくよく見るとそれはやどりぎでなくあこうで鳥が運んで来たものと判った。
用途は枝葉を鎮痛、通経、利尿、高血圧、動脈硬化てんかんの薬等に用いる。
実は鳥もち代用、実のつ いた枝は英国等でクリスマスの飾りにする。
花言葉は「征服」。