やどりぎ
宿木・寄生木、飛び木、飛び蔦などとも呼ばれる。
北海道、本州、四国、九州、朝鮮半島、中国大陸に分布する。ヤドリギの名は、他の樹木に寄生して生活する「宿り木」の意味で、別名
のトビ~は、鳥のお陰で離れている木に移って寄生するからであろう。宿主としてはエノキが最も多く、ケヤキ、ニレ、アカシデ、クリ、ブナ、ミズナラ、カシワ、クワ、ヤナギ、サクラ
等の落葉広葉樹の枝上にはえている。
ヤドリギは、根のような突起を宿主の木の道菅に深く食い込み、養分をえている。すべて宿主に頼って生きているわけではない。自らの葉で光合成を行っ
ているから、宿主から得るのは、無機養分だけである。それで、半寄生植物といわれる。
半透明の宝石のような実は、6ミリ位で11~12月に淡黄色になる。高い所にあるので、まだ実を食べた事がないが、聞いた話ではほんのり甘いらしい。しか
し口の中いたるところへくっつくき、飲みこみたいのに飲み込めないという。鳥もち代用になるはずだ。
やどりぎの花言葉はまったく分野の異なる二つの流れがある「征服」、「困難に打ち勝つ」というようなものと、「私に接吻を下さい」「危険な関係」というもの
である。
征服、困難にまけないというのは、さまざまな木に寄生し、それを征服して繁茂する。
冬にはその木は落葉するがヤドリギは緑の葉を悠々とつけているので、まさしく乗っ取ったかのように見えることからだろう。
「私に接吻を下さい」などの由来は、欧州にはやどりぎの飾りの下では、女性が男性にキスの特権を与える、または女性に出会った男性は誰彼の区別なく
キスができるいう羨ましい風習からである。しかしこの習慣は本来はちょっと違う。
ヨーロッパでは、白い実のついたやどりぎの枝を赤いリボンで結んだものをクリスマスから十二日間、天井、戸の上、廊下の隅などにつり下げ、ここで出会
った女性、多くは少女にキスをする。またキスするたびにそのヤドリギの実を一つずつ摘みとり、実がなくなれば、もうキスは許されない。実が多くついてい
る枝が喜ばれるのは理由はここから。今日でもこの風習はヨーロッパの古い家庭に残っているがアメリカには少ない。この風習は「ヤドリギの下の接吻」
(Kissing under the Mistletoe]といわれ、そのためヤドリギにはKissing
Bushという別名もある。また、古代ゲルマンの頃、やどりぎが宿る木の下で出会った者はたとえ敵同士であったとしても互いにキスし、仲直りしなければなら
ないという風習があったという。
日本では、東京ディズニーランドで毎年「クリスマス・ファンタジー」が開催され、ウェルカムボードにもちゃんとやどりぎがつ取り付けられる。フォトスポットとし
ても人気があるセンタープラザでは、やどりぎが飾られ、習わしの通り、やどりぎの下でミニーにキスするミッキーが見られる。ああこれで、日本でも男性にと
って都合のいい解釈の習慣が根づくのだろうか。
コンピューターゲームはもう文化のひとつになっている。1991年に発売された「聖剣伝説」、当時はまだ白黒ゲームボーイだったが、2003年夏に「新約聖剣
伝説」としてゲームボーイアドバンスで復活した。絵本のようなグラフィックと演出のきめ細やかさがあるアクションローリングプイレゲーム(RPG]に仕上がっている。ここではやどりぎが主原料として使われ、魔術師が儀式で使った樹木として、不妊の治療薬、あらゆる毒の解毒剤な
ど、万能薬として意味づけられている。このソフトでは他にトネリコ、黒壇、かし、ひいらぎ、バオバブなどの樹木が現れる。またディオールの木、化石樹など
私にはわけのわからない樹木もある。
- 学名
- iscum album
- 科
- やどりぎ科
- 属
- ヤドリギ属
- 英名
- European mistletoe, common mistletoe
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