【28】くぬぎ
焚火してひと日いぶれり檪山
(水原秋桜子)
夏近き日ざしとなりてなだら岡 檪林の下道あかるし
(松村英一)
落葉高木。
高さ17m、直径60cmくらいになる。
クヌギは国木の意味ともいわれ、日本の洪積世からの化石があり古代からの野生植物で、秋田県以南から本州、四国、九州、屋久島、種ケ島、朝鮮、台湾、中国東北部、ヒマラヤ、イラン、小アジアに生育する。
初夏に黄褐色の花を穂状につける。翌年秋に堅果をつけ“ドングリ”と呼ばれる球形で2cmくらいの大型で豚の餌になる。
重要な有用植物で植林して10年目には伐採が可能である。
材は堅重で摩擦に耐えるため下駄の歯や車両に用いられる。またシイタケ栽培の榾木にされる。
木炭としては池田炭、佐倉炭が有名だった。
樹皮は染料やなめし皮用のタンニンの原料になる。
大阪で開催された万国博会場内は日本庭園の遠景にはこのクヌギが何千本も植えられ落ちついたたたずまいを見せていた。
最近工場緑化等にも付近住民と一緒になってドングリを植えて緑化樹林に育てていく運動が広がっている。