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新・木偏百樹

くぬぎ

椢・椚・栩・棆・櫪(クヌギ)、クニギ、フシマギ、カタギ、フシレボク、ツルバミ、ドングリノキ。
高さ17m、直径60cmくらいになる。クヌギは国木の意味ともいわれ、日本の洪積世からの化石があり古代からの野生植物で、秋田県以南から本州、四国、 九州、屋久島、種ケ島、琉球列島、朝鮮、台湾、中国東北部、ラオスからネパールヒマラヤ、イラン、小アジアの暖帯に自生する。
クヌギの名の由来はいろいろあり、ドングリが食べることが出来るのでクノキ(食之木)、栗の木に似ていることから、クリニギ(栗似木)、日本書紀の伝承説話でクニキ(国木)に、「朝鮮語のクル」と木からの転化などいろいろあるが決め手はないようだ。
夏の日など、傷ついた幹から染み出る樹液は発酵し、くわがたや、たてはや、ひかげちょうやありが集まってくる。富田林の自宅から会社までの途中の公 園にクヌギが多数植えられている。冬に歩いているとコナラは落葉しているのにヌギは薄茶色の葉をつけてひつこく残っている。木枯らしの日は、それらがカ サカサ鳴るのが印象的である。翌年の新しい葉が出るまでついている。
昭和50年代には植栽用の苗木が不足して、韓国の済州島産の種子を播いたという。
今ではナラやカシ類の果実を区別なしにドングリと呼んでいるが、元々はドングリはクヌギの果実のことであった。「丸いクリ」の意味だったようである。果実 はその年ににはあまり大きくならないで冬を越し、翌年の五月ごろから目立って大きくなりはじめる。
縄文時代の遺跡から、かめに残るドングリも発見されているが、特有の渋味があるため現在ではあまり食べない。長野の伊那谷地方で、このドングリを食 べていたところがあった。また九州などでは渋を抜いて餅を作っていた。昔はドングリの実は救荒食料であった。
初夏に黄褐色の花を穂状につける。
木炭としては、大阪の池田炭、千葉県の佐倉炭(さくら)が有名だった。いずれも木炭の原料として優れた性質をもっていた。クヌギを利用したものは一般の燃料として普及した。多くの市民たちが木 炭を使うようになったのは、やはり江戸時代に入ってからであろう。このころ各地にクヌギやコナラが植えられ、雑木林がひろがった。以後、木炭の原料の樹 として、長く日本人の生活と結びついていた。昭和20年代まで重要なエネルギー源であった。そのためよく植えられて雑木林ができてきたのであろう。その 後、木炭が斜陽化すると、椎茸原木として脚光を浴びるようになった。椎茸原木としては、コナラなどよりも樹皮が厚いので発生期間も長く、量産できるとい われさらに植栽され、自生地との区別がつきにくくなっている。また、現在良質のものは茶道用として生き残っている。
材は堅重で摩擦に耐えるため下駄の歯や船舶、車両に用いられる。樹皮は染料やなめし皮用のタンニンの原料になる。
大阪千里で開催された日本万国博会の日本庭園にはクヌギが何千本も植えられた。
学名
Quercus acutissima
ぶな科
コナラ属
英名
英名
Japanese Chestnut Oak

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