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新・木偏百樹

やし

椰樹、やしお、パーム。 木本性の単子葉植物。日本では従来、ココヤシを単にヤシと呼んでいたが、最近はヤシ科植物でココヤシ、ナツメヤシ、ニッパヤシなどの総称名として用い る。
日本ではそんなに種類があると思われないが、世界には263属
、約3400種あると言われている。そしてそれらの大部分は熱帯や亜熱帯に分布する。またこの多数の属
や種の多くは限定された狭い地域にのみに分布する固有性の強い樹木でもある。
父は昭和三四年に仕事でニュージランド訪れた時に、観光でフィジー島まで足を伸ばした。日本人の観光客として始めてで歓待を受けたようだ。子供が木 に登って落してくれたココヤシの実をその場で飲んだところ美味しくて忘れられないとよく話していた。子供心に、味を想像して飲みたいものと思っていた。私 がインドネシアにいた時に、海岸のココヤシを売っているところを見つけ、期待に胸を膨らませで飲んだが、生臭くて私には合わなかった。それで二年の間 の間に二度しか飲まなかったが、和歌山のリゾート博覧会で飲んだときには、うまかった。冷やして飲めばいいようだ。
民俗学者の柳田国男は愛知県の渥美半島の海岸を散歩をしていた時、浜に打ち上げられている椰子の実を見つけ、遠い国から流れてきた椰子の実に深 い感動を覚え。帰って友人の島崎藤村に話し、有名な「椰子の実」が作詞されたという。この詩は大中寅次が曲をつけ、今でも多くの人に愛唱されている。
インドネシアに2年生活し、さまざまな海岸でよくこの木を見たが、多くは海に向かって傾いていた。これはきっと果実を陸ではなく海に落とすためだと思う。 海流によって見知らぬ土地に拡げる戦略なのだろう。果実は、直径25- 30センチを越える大きなもので、非常に堅い殻に包まれており、耐海水性、耐被食性、それに浮力を持っている。浮力は二年以上保たれるが、発芽能力は 数ヵ月しか維持されないという。何週間も炎天下にさらされ潮をあび続けても、中のジュースとコプラはまったく変質しないという優れた保存食糧だったために 丸木舟の航海に利用されていた。
ヤツメヤシはアラブの遊牧民の貴重な携行食品である。生果と乾果は、果物としてよりも主食的利用が多い。実は多量の糖分を含み、果物の中で最も甘い 、乾燥したものは砂糖漬けかと思うほどだ。この実からはみつが採れ、発酵させてアルコール飲料となる。聖書の中で20箇所近くもででくる「強い酒、濃い酒 、強い飲み物」等の表現の飲み物はぶどう酒とは区別されている。長い間わからなかったが、やしを調べているうちにわかった。飲み物はヤシの酒のことで ある。
また、聖書などに出てくるヤシは日本の聖書ではシュロと訳しているが、正しくはナツメヤシであろうと思われる。
学名
Cocos nucifera(ココヤシ)
やし科
ナツメヤシ属
英名
Palm

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