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新・木偏百樹

いいぎり

椅・飯桐(イギリ)、イヌギリ、ナンテンギリ、トウセンダン、カサギ、カジャノキ、カサイ、ヤマギリ、 本州中南部、中国、九州、台湾、朝鮮半島南部、中国中部にに分布する。山中にまれにはえ、庭木として栽植される-----。
高さ15~20m、太いものは直径1mにもなる。樹皮は灰白色でよく目立ち、キリの樹皮に似る。太い枝を数本、やや水平に輪生状に出す。小枝は太いが折 れ易い。五月頃に若葉の先に穂状(すいじょう)の花序をつけて吊れ下り、花弁を欠く。芳香を出す花を開く。
葉は互生し、ハート型で大きい、長さ10~20cm。裏面はやや白い。葉柄は長く、紅色に染まるのが特徴。秋に黄葉する。
学名はIdesia polycarpaといいIdesiaは17世紀のオランダの探検家イデスに由来する。
、polycarpaは果実の多いという意味のごどく、晩秋から真っ赤な1cmくらいの実をブドウの房のように枝からぶらさげる。大変美しいもので、一度見たら目 に焼きつき一生忘れないのではと思う。果実はみずみずしくなり、ヒヨドリやツグミがいっせいにやってきてついばむ。木にはほとんど残らないが、地上には食 いちらしたものがいっぱい。落ちたものには鳥たちは見向きもしない。- しかしその中のいつくかは稚苗となって育つ。自然はここでもバランスを保っている。
遠くからみれば南天に似た赤い実をたくさんつけるので「ナンテンギリ」という所もある。実は南天よりも大きい。
材は黄白色から淡黄褐色、軽く軟らかで。キリの代用材として下駄に用いられるほかは小細工用、箱等に使われるが、腐りやすい。また薪、炭の原料にも される。
果実が美しいので街路樹にもする。“イイギリ”とは、種子が米に似ているからとも昔この大きな葉で食物を包んだからとも言われている。また、椅桐で椅(い)の音読を長くしたものともいわれている。
私が知っている限り日本で1箇所だけ、「いいぎり」を市町村の木に選定しているところがある。高知県安芸郡の北川村である。人口わずか2000人足らずの 村だが、自然と山々に囲まれ、新鮮な空気の中、ゆずの収穫期には村全体にゆずの香りがあふれるという。また坂本龍馬が海援隊を組織すると、自らは 陸援隊の隊長となった、あの中岡慎太郎の出身地である。薩長同盟は龍馬の手柄のように語られがちであるが、実は慎太郎の功績が大きいとも言われて いる。
お箸は仕事柄、いつも木のモノを利用しているが、特殊なプラスチックがついた「いいぎり」の箸を最近買った。箸を持つのが不自由になった人や、利き手以 外で箸を持たねばならない場合にも役立つという、ユニバーサルデザインのあたらしい箸だ。これを実際に使うと懐かしい感じがする。
子供の頃母親から何回となく注意されて、一生懸命努力し、やっと一人前に扱えるようになっていく過程や動作の記憶がつい最近の事のように思い出さ れた。
学名
Idesia polycarpa
イイギリ科
イイギリ属

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