だいだい
代々、回青橙(カイセイトウ)、臭橙(しゆうとう)、サワーオレンジ、ビターオレンジ
橙橙の類は、寒さ暑さ多雨にも耐え、樹勢は強健で耐病虫性も強い。作りやすい柑橘類で、庭植えのほか、鉢でも育てられる。
常緑の小高木で高さ4~5メートル、葉は長さ約6~8センチで、葉柄には広い翼がある。
橙の果汁は酸味が強く食用にはならない。昔は酢の代用品として使われていた。醸造酢が普及するとあまり使われなくなったが、それでも香りが良いので、
汁を絞ったものはポンスとよび、鍋などに多く用いられる。果皮も香りがよいので刻んでマーマレードの原料に好適。マーマレードには、夏ミカン製品よりも
色の美しいものができる。
世界的に広く栽培されているが、原産はインドのアッサムを中心とするアジア南東部。ここから陸路を西に進んだものがサワーオレンジに、東に普及したも
のがダイダイ類に品種分化した。中国へは比較的早く伝わり、揚子江流域に分布した。回青橙(カイセイトウ)、臭橙(シュウトウ)などに分化し、日本にも伝わった。
最初の日本への導入は、伝説上の人物の田道間守(たじまもり)といわれている。『古事記』『日本書紀』に出る田道間守が常世国(とこよのくに)から持ち帰った非時香菓(ときじくのかぐのこのみ)は、橘が通説であるが、最近はダイダイだろうといわれている。
橙の名は江戸時代に広がったようで、『和漢三才図会(わかんさんさいずえ)』にも、書かれている。
回青橙(かいせいとう・だいだい)は狭義のダイダイで、ザダイダイ(座橙)ともいう。臭橙(しゆうとう)は橙の別名で、一般にはカブス(蚊無須)をさす。特有の臭いがあり、臭橙の名はこれによる。果肉は柔らかく、多汁で酸味が強い。
父はユズリハから事業の継承を、ダイダイからは家庭の話をよくひきだした。祖父母や私たちとの三世帯で住む事にこだわっていた。同じ木に三代の果実
が残り「代々(だいだい)」の名がついたことや、正月のお飾りのダイダイの実をさして、子孫の繁栄に通じること等を説明してくれた。
橙の実は11月頃までは緑色だが、12月になると鮮やかな橙色になる。実はそのまま残ることがあり、春には再び緑色を帯びる。これが回青橙と言われる所
以である。そしてまた次の冬がきたら再度だいだい色になる。冬になり、周辺の色が少なくなった頃には、この色は目立つ。
『代々』に繋がるということで縁起がいいとされていて、お正月の注連飾りに使われてきたが、最近は代用品である蜜柑が使われることが多い、めでたさを祝
ういう意味合いから言えば、ダイダイを使へと父なら言うのだろう。
NHKでは放送で使う言葉ついて、放送用語委員会で審議し決定している。2001年発表された15の言葉の中にポン酢についての記載があった。ポン酢は本
来オランダ語で、橙の搾り汁をいうが、戦前や昭和の辞書ではポンスという方が多く、平成になって初めてポンズが過半数を占めたことから、正式にNHKで
放送で使う言葉に認められた。
- 学名
- Citrus aurantium
- 科
- みかん科属
- 属
- ミカン
- 英名
- > sour orange、bitter orange、bigarade、seville orange
53/100 ページ