カシ |
五重塔 |
7 |
樫 |
縁にはわざと赤樫を用ひたる岩畳(がんでふ)作りの長火鉢に対ひて話し敵もなく唯一人、 |
クロモジ |
五重塔 |
8 |
黒文字 |
黒文字を舌端で |
アオギリ |
五重塔 |
23 |
梧桐 |
梧桐の影深くの影深く四方竹の色ゆかしく茂れるところなどめぐりめぐり過ぎて、 |
ボダイジュ |
五重塔 |
26 |
ぼだいじゅ |
菩提樹の実 |
マツ |
五重塔 |
32 |
松 |
膝に載きたる骨太の掌指は枯れたる枯れたる松枝ごとき岩畳作りにありながら、 |
クワ |
五重塔 |
33 |
桑 |
面白い話といふも桑門(よすてびと)の老僧等には左様沢山無いものながら、 |
シュロ |
五重塔 |
34 |
棕櫚 |
根こぎになつたるらしき棕櫚の樹の一尋余りなを架渡して橋として与つたに、 |
スギ |
五重塔 |
39 |
杉 |
杉箸で辛くも |
ユズ |
五重塔 |
40 |
ゆず |
柚の香ゆかしく |
マツ |
五重塔 |
57 |
松 |
松づくしなぞは彼奴に賞められたほどで、 |
マツ |
五重塔 |
57 |
松 |
胴魔声の松づくしでも聞てやろ。 |
マツ |
五重塔 |
57 |
松 |
有楽形の燈籠に松の落葉の散りかかり、方星宿の手水鉢に苔の蒸せるが見る眼の塵をも洗ふばかりなり。 |
マツ |
五重塔 |
58 |
赤松 |
赤松の炉縁一ツに三日の手間を取るといふのは、 |
ヤドリギ |
五重塔 |
62 |
ヤドリギ |
寄生木は十兵衛の虫が好かぬ、 |
ヤドリギ |
五重塔 |
62 |
ヤドリギ |
寄生木を容るるも虫が嫌へば是非がない、 |
ヤドリギ |
五重塔 |
62 |
ヤドリギ |
なまじひ我の心を生して寄生木あしらひは情無い、十兵衞は馬鹿でものつそりでもよい、 |
ヤドリギ |
五重塔 |
62 |
ヤドリギ |
人の仕事に寄生木となるも厭なら我が仕事に寄生木を容るゝも虫が嫌へば是非がない、 |
ヤドリギ |
五重塔 |
63 |
ヤドリギ |
たゞ寄生木になつて高く止まる奴等を日頃いくらも見ては卑い奴めと心中で蔑視(みさ)げて居たに、 |
ヤドリギ |
五重塔 |
63 |
ヤドリギ |
寄生木になつて栄えるは嫌ぢや、矮小な下草になつて枯れもせう大樹を頼まば肥料にもならうが、 |
チョウジ |
五重塔 |
81 |
丁子 |
丁子沈香白膠薫陸白檀 |
ヌルデ |
五重塔 |
81 |
白膠 |
丁子沈香白膠薫陸白檀上合せて五香、其他五薬五穀まで備へて |
ビャクダン |
五重塔 |
81 |
びゃくだん |
丁子沈香白膠薫陸白檀 |
カラタチ |
五重塔 |
106 |
からたち |
枳殻をもて脊を鞭てよ、歎息の呼吸涙の水、動悸の血の音悲鳴の声、 |
マツ |
五重塔 |
106 |
松 |
斧を揮つて数寄者が手入れ怠りなき松を冷笑ひつつほつきと斫るあり、 |
カシ |
五重塔 |
107 |
樫 |
黒雲空に流れて樫の実よりも大きなる雨ばらりばらりと降り出せば、 |