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小説と木

宮尾登美子の小説「寒椿」に出てくる樹木や木製品

この小説の初出は1992年、文庫本におけるページ数は361ページ
ページ 元樹種 掲載樹種 掲載言葉
9 芸妓子方屋 芸妓子方屋 浦戸町の芸妓子方屋の松崎には
9 堅い葉のあいだを掻き分けて
9 ツバキ 椿 椿は肉厚の白や斑の八重や
9 日かげの木とでは
9 ツバキ やぶつばき 素っ気ない一重の藪椿など
9 ツバキ 椿 椿、ないかないか
9 花、ないかないか
9 ツバキ 椿 椿はぽたりと首からもげると云われるが必ずしも全部がそうではなく
9 葉裏 葉裏 葉裏にうつむいて
9 ツバキ 椿 とくに椿は着物ばかりでなく
9 ツバキ 椿 椿の木が六本植えられていた
21 丸太 丸太ン棒 躰は相変わらずの丸太ン棒のまま
32 桃割 桃割 初めて結った桃割れを
32 ツバキ 椿 落ちていた椿の花を
38 鉋を掛けた一枚板のように
38 植木 植木 隅の植木鉢のかげで
51 ナシ 便りを出しても梨の礫ゆえ
67 懇ロ 懇ろ 女事務員と懇(ねんご)ろになった事が
75 ツバキ 椿 椿の木があったらなおよい
75 板塀 板塀 形ばかりの板塀に
76 板塀 板塀 こちらの板塀の隙間から
78 吊シ柿 吊し柿 自分こそ吊し柿
99 ツバキ 椿 六本の椿の木を瞼の裏に
106 木立 車の上ってゆく木立の間からは
107 木立 次の木立に入り
108 ヤマモモ 楊うめ 楊梅の木のある松崎の墓所に
108 木洩れ日 楊梅の大木の木洩れ日を浴び乍ら
108 ヤマモモ 楊うめの大木 楊梅の大木の木洩れ日を浴び乍ら
109 木仏 木仏 木仏金仏でもないつもりだが
112 ヤナギ 播磨屋橋脇の柳の下に立って
133 木の床 ホームの木の床に蔓った苔の色は
134 板壁 板壁 この板壁が使われ
134 マツ 松原 最も海に近い松原のなかにあった
134 板囲いの外側には
135 マツ 松の根をいくつか飛び越せば
135 松の根をいくつか飛び越せば
135 板囲いのなかの狭い家には
155 ツバキ 椿 無闇に椿の葉っぱを毟ったりする
155 葉っぱ 無闇に椿の葉っぱを毟ったりする
156 花びら 肉厚の花びらをむしゃむしゃと食べたところ、女中たちも一緒になって
163 撞木 撞木 前差し後差し撞木差しに寝た情景も
164 木の家というのは一軒だって見つからぬ
165 木の家も見えぬ町の姿に
167 ヤナギ 民江の態度を柳に風と受け流している
175 サクラ 同期の桜のせいか
179 ミカン 蜜柑箱 部屋の隅の蜜柑箱の上には
180 松の根を踏んで
180 マツ 松の根を踏んで
181 板小屋 板小屋 板小屋で息を引き取ったと
182 板小屋 板小屋 板小屋のなかの板敷に
182 板敷 板敷 板小屋のなかの板敷に
182 マツ 松原を鳴らしてゆく潮風や
189 見どころとてなし韮の花
189 韮の花とて蝶集む
194 ヤナギ 好いた水仙好かれた柳
201 木阿弥 木阿弥 すべて元の木阿弥で
204 マツ 松原の松の匂い
206 板小屋 板小屋 板小屋で五年間も病んだ
210 サンザシ さんざし 山査子の赤い実を
210 焼クリ 焼栗 くーりー焼栗っ、もええよ
210 ミカン 蜜柑 凍り蜜柑をストーブで焼いて
210 サンザシ タンフールー(糖葫芦) 赤い実を飴で固めたタンフールー
210 山査子の赤い実を
212 カキ つるし柿 味は大和のつるし柿
214 板小屋 板小屋 板小屋に一人暮らしていたが
218 マツ まつ林 松林を縫って吹き抜け
218 マツ 松原 松原の中に並んだ
219 サクラ 牡丹さくら 牡丹桜が重そうに
241 若葉 若葉 銀杏の若葉の頃が
241 イチョウ 銀杏 銀杏の若葉の頃が
256 上框 上り框 上り框に斜めに腰かけた
256 サクラ 白い桜の花を背負っていた
263 サクラ 桜の大木の下に
263 大木 桜の大木の下に
263 サクラ 桜の花の光景を
263 落花 落花 落花を浴びながら突っ立っている
265 どぶ板 どぶ板を跨いで
273 マツ まつ林 松林のなかを抜けて
275 製材所の挽き落しの薪を
275 製材所 製材所 製材所の挽き落しの薪を
277 薪を幾百束幾千束売っても
279 ツバキ 椿 椿のある長い敷石の道を
291 ヤナギ 柳が歩めば花がもの云う
291 若葉 若葉 若葉の燃えるような勤めぶりだったと
292 木の葉 石の上の木の葉を拾うたら
298 大工 大工 大工の仕事はひきも切らずあり
303 熟柿 熟柿 熟柿が好きだったから
303 唇許からは黄になった萩の葉のような
303 ハギ 唇許からは黄になった萩の葉のような
309 マツ 松の花 あら、松の花
309 マツ 松の花が目についたのは
309 花粉 花粉 その花粉を払い
310 花粉 花粉 黄の花粉を目に灼きつけたことで
311 松明 松明 松明を半分残しておき
311 松明 松明 その松明で飯を炊くと
312 赤松の梢を暫く仰ぎ
312 アカマツ 赤松  赤松の梢を暫く仰ぎ
313 アカマツ 赤松 赤松の下に佇っていたとき
313 マツ 松の花 さっき見た松の花の
313 疎林 疎林 疎林のあいだから
313 花の蕾のかたちに
314 コウゾ こうぞ 楮を五貫
314 筏師 筏師 筏師の父親が
315 薪から米まで買って
334 サルスベリ 百日紅 百日紅の花が炎と紛う
368 懇ロ 懇ろ 懇ろに頼んであり
372 ケヤキ 欅の葉色や
372 欅の葉色や
372 ツバキ 椿 植えられた椿
372 サルスベリ 百日紅 百日紅の花模様であったり
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