9 |
シラカバ |
白樺が美しい |
暖炉では白樺が美しい火の色を見せて焚かれていた。 |
11 |
森 |
鬱蒼とした森 |
N池の周辺は鬱蒼とした森にかこまれていたが、 |
12 |
森 |
森 |
森の奥でしている小滝の響きをきいた。 |
13 |
露台 |
露台 |
夜更けの露台には誰も居なかったので明秀は美子をそこへ誘った。 |
13 |
手摺 |
手摺 |
美子は黙って手摺に凭れていた。 |
14 |
露台 |
二階の露台 |
二階の露台で見ると池はふしぎな広がりと曲線を以て望まれた。 |
15 |
森 |
森の入口の入口 |
ある朝の散歩で藤村夫人が森の入口に差し掛かった時、 |
16 |
葉 |
若い葉の |
彼は美子の若い葉のように弾力のある掌をそっと握りながら、 |
17 |
森 |
森の |
森のむこう側にお花畠があるそうよ |
17 |
森 |
森を通う |
森を通う小径は散歩のためにわざと迂回させて同じ小川を |
17 |
森 |
森の半ば |
森の半ばまで来て藤村夫人は白樺て作ったベンチに腰を下ろした。 |
17 |
シラカバ |
白樺て作った |
森の半ばまで来て藤村夫人は白樺て作ったベンチに腰を下ろした。 |
27 |
ボタン |
牡丹が |
牡丹が花をひらいたように、 |
45 |
床の間 |
床の間 |
この会話にわざと入らないで床の間の掛け軸に目をやっている伯父の様子 |
47 |
森 |
森に聳え立 |
森に聳え立つ山荘の露台で彼は美子を探していた。 |
47 |
露台 |
山荘の露台 |
森に聳え立つ山荘の露台で彼は美子を探していた。 |
48 |
木目 |
木目込人形 |
男爵は木目込人形のそれを思わせる幾分重たげな懐かしげな眼差しで |
48 |
森 |
はてしれぬ森 |
はてしれぬ森は塗り立てのニスのような匂いを放ち、 |
55 |
香木 |
香木のような |
男爵はそう言いながらその香木のような硬い菓子を口に入れた。 |
55 |
ツバキ |
椿の落ちて |
苔の上に椿の落ちていたのが綺麗だった |
56 |
桝床 |
桝床 |
桝床を模した半畳の踏込床に掛けてある小軸は、 |
56 |
踏込床 |
踏込床 |
桝床を模した半畳の踏込床に掛けてある小軸は、 |
61 |
椿事 |
宵の椿事 |
宵の椿事から彼は偶然拾おうと努めていた。 |
63 |
芽 |
芽吹い |
芽吹いた並木の連なる舗道へ出た。 |
63 |
並木 |
並木の連なる |
芽吹いた並木の連なる舗道へ出た。 |
82 |
マホガニイ |
マホガニイの手摺に |
父はマホガニイの手摺につかまってふと振向いた。 |
86 |
棒 |
突っかい棒 |
意志という突っかい棒のおかげで、 |
90 |
木組 |
焦げた木組 |
まだ焦げた木組がそそり立っているのが見られた。 |
95 |
ツバキ |
椿の白で |
しかしその白がまだ清らかなままに落ちた椿の白であり、光沢(つや)のある緑の苔に守られた白だと気附くと、写真の中から早春のつつましい大気の匂いがひろがり出てくるように思われた。 |
95 |
ツバキ |
早春の椿 |
墓先の苔に落ちた一輪のあでやかな早春の椿に向けられていた。 |
95 |
ツバキ |
落ちた椿 |
はじめのうちは苔に落ちた椿とはみえず、 |
103 |
嫩葉 |
嫩葉 |
蔦や庭草は嫩葉(わかば)してきた、 |
105 |
杉戸 |
杉戸 |
杉戸の外から、 |
107 |
梢 |
梢々 |
梢々が緑の焔に巻かれているかのようだった。 |
107 |
木々 |
木々 |
木々の若枝に青葉が競い立ってきた。梢々が緑の焔に巻かれているかのようだった。 |
107 |
若枝 |
木々の若枝 |
木々の若枝に青葉が競い立ってきた。 |
107 |
青 |
青 |
木々の若枝に青葉が競い立ってきた。 |
113 |
灌木 |
灌木 |
どうせ人に見られることがわかっている灌木のかげで、 |
120 |
木札 |
玄関の木札 |
玄関の木札で確かであった。 |
123 |
若葉 |
若葉の反映 |
それは若葉の反映で水底のような光りが漂うている二階の一室だった。 |
124 |
若葉 |
若葉 |
若葉の窓の異様な明るさ見戍 っているばかりだった。 |
125 |
木叢 |
緑の木叢 |
緑の木叢(こむろ)のはるか下方を市内電車がみえかくれしながら一心に走っているのを見た。 |
126 |
若葉 |
若葉の強い匂い |
窓外の若葉の強い匂いがふいに堰(せ)き止められたせいであろうか。 |
134 |
藤棚 |
藤棚 |
盛りをすぎた藤棚をかなたに見る夫人の居間で。 |
138 |
木屑 |
木屑 |
目に見えぬあたりで幻影の亡霊がしずかに木屑を噛みつづけている。 |
140 |
アカマツ |
赤松の小さな林 |
山内家の近くにはまだ処々赤松の小さな林や露わな崖などが残っていた。 |
140 |
林 |
赤松の小さな林 |
山内家の近くにはまだ処々赤松の小さな林や露わな崖などが残っていた。 |
157 |
樽 |
樽を |
それは一二、三歳の子供に牽かれ樽を二つ背中にのせたおとなしい馬の仕事であること、 |
157 |
木 |
木の生皮 |
封を切った手紙が木の生皮のように白々と横たわっていた。 |
157 |
生皮 |
木の生皮 |
封を切った手紙が木の生皮のように白々と横たわっていた。 |
159 |
木 |
木の間 |
しかし一面の雑草と笹の茂りが木の間をこめているだけであった。 |
160 |
スギ |
みるみる杉林 |
みるみる杉林が深まり幽谷があらわれた。 |
161 |
若葉い |
若葉の匂い |
そして若葉の匂いが一きわ濃くなったような匂いをきいた。 |
161 |
木立 |
緑濃い木立 |
緑濃い木立や雑草を透かして迫った |
170 |
スギ |
杉木立 |
杉木立に残暑の曇りが立ちこめた夕景であった。 |
180 |
桜桃 |
桜桃の看板 |
西銀座のキルシェというあの桜桃(さくらんぼう)の看板の下っているドイツ人のレンストランで待ち合わせましょう |
195 |
漆 |
漆の椅子に |
彼女は漆の椅子に斜めに掛けていた。この漆の鏡が夫人の地味な古代裂の袋帯と秋袷の投影を落としていた。 |
195 |
漆 |
漆の鏡が |
彼女は漆の椅子に斜めに掛けていた。この漆の鏡が夫人の地味な古代裂の袋帯と秋袷の投影を落としていた。 |
200 |
木叢 |
木叢の豊 |
庭の芝生や木叢(こむろ)の豊かな悲哀に充ちた秋のかがやきを眺めていた。 |
203 |
ヤナギ |
柳の蔭に |
かくて、おみなは柳の蔭に隠れしが、 |
206 |
モミ |
樅の木 |
主人役の某家の夫人が二人を飾り立てた樅の木の傍らで紹介した。 |