5 |
太鼓櫓 |
太鼓櫓の棟木 |
太鼓櫓の棟木の陰へ、すいすいと吸いこまれるように、蜂はちがかくれてゆく、 |
5 |
太柱 |
太柱 |
四方の太柱でさえ風化して、老人の筋骨のように、 |
5 |
棟木 |
太鼓櫓の棟木 |
太鼓櫓の棟木の陰へ、すいすいと吸いこまれるように、蜂はちがかくれてゆく、 |
5 |
木目 |
木目 |
老人の筋骨のように、あらあらと木目のすじが露出している。 |
6 |
青葉 |
四囲の青葉 |
夏の陽(ひ)ざしもぐあいよく四囲の青葉が遮ってくれている。 |
6 |
柱 |
柱 |
袴の膝を抱いたまま、柱に凭(よ)って、ぽかんと屋根裏を仰いでいた。 |
6 |
柱 |
柱 |
柱の下に背を凭(もた)せかけたまま、よいこころもちで居眠っていたのであった。 |
16 |
根 |
根を抜き去る |
枝葉と闘わず根を抜き去る。――これも信長の戦いに見られる手口のひとつだ。 |
16 |
枝葉 |
枝葉と闘わず |
枝葉と闘わず根を抜き去る。――これも信長の戦いに見られる手口のひとつだ。 |
20 |
板縁 |
末席の板縁 |
そのとき末席の板縁まで、侍小頭の室木斎八と今津源太夫のふたりが戻って来て、 |
21 |
太鼓櫓 |
太鼓櫓 |
「太鼓櫓のうえにおられました」 |
47 |
樹木 |
樹木 |
樹木の多い丘の上に、十数年ほど前から黒田という一豪族が住居を建てて住んでいたというに過ぎない程度のものであった。 |
47 |
住居 |
住居 |
樹木の多い丘の上に、十数年ほど前から黒田という一豪族が住居を建てて住んでいたというに過ぎない程度のものであった。 |
52 |
生木 |
生木を裂くような |
生木を裂くような酷さを胸のそこに嚥(の)みながら、 |
54 |
木戸 |
裏の木戸 |
おうい、むすめよ、裏の木戸を開けておけ。馬を曳くぞ」 |
55 |
框 |
店の框 |
それを見ながら官兵衛は、店の框に腰を下ろして、 |
56 |
板看板 |
古い板看板 |
してふと軒に懸けてある古い板看板の |
60 |
マツ |
雁の松 |
雁の松の下へ、舟を廻しておくように申しつけて参りました。 |
62 |
マツ |
雁の松 |
官兵衛は大股に町を通り越えて、浜の雁の松へ急いで行った |
64 |
マツ |
雁の松 |
雁の松の下に、父娘は、その白い帆影が見えなくなるまで、じっと見送っていた。 |
64 |
櫓柄 |
櫓柄 |
無表情な船頭は、もう櫓柄をにぎって、ぎしぎしと漕いでいた。 |
66 |
木賃 |
木賃 |
けれど官兵衛は、鍛冶屋町のうす汚い木賃に宿をとって、着いた日も、その翌日も、目薬を商いながら町ばかり歩いていた。 |
67 |
木賃 |
木賃 |
と辻を曲って、鍛冶屋町の木賃へその日も帰ってしまった。 |
69 |
木賃 |
木賃 |
官兵衛主従の泊っている木賃の隣は、こういう人々が息つぎに集まる居酒屋らしく、 |
69 |
木枕 |
木枕 |
何かに愕いたとみえて、木枕から頭を擡(もた)げ、 |
69 |
梁 |
梁 |
騒ぎ声だけならよいが、時には壁が揺れて、梁の鼠糞が寝顔へ落ちて来たりする。 |
83 |
松籟 |
松籟 |
たとえば松籟(しょうらい) に翼をやすめている鷹の如く澄んだ眸をそなえている。 |
85 |
漆 |
つぶ漆 |
の戦場に在る日は、つぶ漆のあらあらとした鎧に、虎御前の太刀を横たえ、 |
90 |
枝葉末節 |
枝葉末節 |
長島を攻めたり、北陸を攻めたり、みな枝葉末節です。 |
118 |
林 |
林 |
あの辺の林や山に潜んで、ひたすらこの御着の城内から内応の合図があるのを待ちかまえておる様子でございまする。 |
123 |
森 |
森 |
道といわず、畑といわず、森といわず、いたるところで敗敵を捕捉しほとんどこれを殲滅してしまった。 |
125 |
土木 |
土木 |
彼の土木は、やはり彼の戦争のとおりだった。 |
126 |
ウメ |
墨梅の間 |
芙蓉の間、墨梅(ぼくばい)の間、遠寺晩鐘の間などと呼ぶにふさわしい彩管を揮ふるっている。 |
126 |
フヨウ |
芙蓉の間 |
芙蓉の間、墨梅(ぼくばい)の間、遠寺晩鐘の間などと呼ぶにふさわしい彩管を揮ふるっている。 |
127 |
木の香 |
木の香 |
それがしどもも、木の香新しい御座に侍して拝賀のお杯を頂戴できるものと、 |
132 |
ウルシ |
漆の香 |
信長は床几を離れて、まだ漆の香のする欄階を先に降りて行った。 |
132 |
欄階 |
欄階 |
信長は床几を離れて、まだ漆の香のする欄階を先に降りて行った。 |
141 |
屋形造 |
屋形造り |
湖畔の水門から湖上へ浮かび出た屋形造りの一艘がそれだった。 |
141 |
松並木 |
松並木 |
その頃ちょうど官兵衛も安土の町を離れ、湖畔の松並木を西へ向って歩いていた。 |
158 |
カイドウ |
海棠の木 |
寺院の庭の巨(おお)きな海棠の木に繋いであった一頭の黒駒のそばへ立ち寄り |
158 |
庭垣 |
庭垣 |
そしてやがて、庭垣の彼方へ向って、家臣の母里(もり)太兵衛の名を呼びたてた。 |
162 |
ツバキ |
一輪の白椿 |
。軍議の時など、藪の中に一輪の白椿が咲いているように、いつも口少なく秀吉の側にいた。 |
164 |
サクラ |
山桜 |
折々、どこからか舞って来る山桜の花びらを縁先に見つつ、 |
165 |
具足櫃 |
具足櫃 |
と、官兵衛はすぐ具足櫃(ぐそくびつ)から取出して示した。 |
169 |
柵 |
柵 |
柵を植え、鹿柴(ろくさい)を連つらね、塹壕や堀など、あらゆる防禦線が造られていて、 |
169 |
鹿柴 |
鹿柴 |
柵を植え、鹿柴(ろくさい)を連つらね、塹壕や堀など、あらゆる防禦線が造られていて、 |
183 |
板庇 |
陣屋の板庇 |
陣屋の板庇から白い月がさしている。 |
201 |
紅葉 |
紅葉 |
「ありがたいな、田の稔りも、今年は良かったとみえる。紅葉も見頃。百姓たちの顔色も明るいぞ」 |
209 |
紅葉 |
紅葉 |
山野の紅葉(もみじ)も黒々とたそがれかけているころ、 |
209 |
並木 |
路傍の並木 |
路傍の並木の陰に佇んで、良人の通るのを待っていた。 |
210 |
並木 |
薄暮の並木 |
薄暮の並木の陰に、市女笠をかぶった妻の白い顔が見えたからである |
211 |
木戸 |
木戸 |
翌朝、往還の木戸まで来ると、要路を守る羽柴の軍隊に会った。 |
212 |
柵 |
柵 |
随所に柵を作り、関をむすび、 |
213 |
マツ |
松並木 |
官兵衛は悠々と馬を打たせて伊丹近くの松並木まで来た。 |
213 |
並木 |
松並木 |
官兵衛は悠々と馬を打たせて伊丹近くの松並木まで来た。 |
213 |
木蔭 |
木蔭 |
官兵衛は馬を降りて、馬を木蔭につないだ。 |
225 |
梁 |
梁 |
死力でふりほどいた。梁の揺れるような屋鳴(やな)りがした。 |
226 |
柱 |
太い柱 |
太い柱と柱しか見えない洞然たる地下室をながめ廻して、官兵衛は、 |
226 |
柱 |
柱 |
太い柱と柱しか見えない洞然たる地下室をながめ廻して、官兵衛は、 |
234 |
松かさ |
松かさ |
皮膚は垢とこの冬中の寒気で松かさみたいになっている。 |
236 |
フジ |
藤の蔓 |
「……やっ。あんな所へ、藤の蔓がからんで来た」 |
236 |
蔓 |
藤の蔓 |
「……やっ。あんな所へ、藤の蔓がからんで来た」 |
237 |
ケヤキ |
太い欅 |
東側に切ってある高窓の太い欅の桟に、 |
237 |
フジ |
藤の嫩芽 |
いとも優しい藤の嫩芽(わかめ)をつけた蔓の先を見つけたからであった。 |
237 |
桟 |
欅の桟 |
東側に切ってある高窓の太い欅の桟に、 |
237 |
藤棚 |
藤棚 |
「……そうか、それで読めた。藤棚は多く池の畔にある |
237 |
藤棚 |
藤棚 |
「ははあ。かしこの外には、藤棚があるとみえるな」 |
237 |
蔓 |
蔓の先 |
いとも優しい藤の嫩芽(わかめ)をつけた蔓の先を見つけたからであった。 |
237 |
嫩芽 |
藤の嫩芽 |
いとも優しい藤の嫩芽(わかめ)をつけた蔓の先を見つけたからであった。 |
237 |
嫩蔓 |
嫩蔓 |
このわずかな緑の嫩蔓(わかづる)に慰められてである。 |
239 |
フジ |
白藤 |
そうだ、白藤か淡紫かあの花の咲くまで見ていよう」 |
239 |
朽木 |
朽木 |
刃や他の何の力を加えないでもバタと朽木のように斃(たお )れて終ってしまいそうであった。 |
239 |
藤蔓 |
藤蔓 |
オオ、あの高窓の藤蔓もいつか茂り、しかも短い花の房すら持って咲こうとしている。 |
239 |
房 |
花の房 |
オオ、あの高窓の藤蔓もいつか茂り、しかも短い花の房すら持って咲こうとしている。 |
240 |
フジ |
藤の花 |
「獄中に藤の花が咲くなどということは、あり得ないことだ。漢土の話にもこの日本でも聞いた例しがない。 |
240 |
フジ |
藤のにおい |
その袖口から虱も這い出て、かすかな朝陽の影と、藤のにおいに、遊びまわっていた。 |
240 |
フジ |
藤の花 |
朝陽のもるる中に、彼は鮮やかな藤の花を見た。 |
240 |
フジ |
藤の花 |
彼は、掌てを合わせて、藤の花を拝んだ。 |
241 |
並木 |
並木 |
日ごろのたしなみものうお叱りを覚悟のまえで、お城下端れの並木までよそながらお見送りに出たが |
252 |
ウメ |
梅の梢 |
まだ梅の梢に雪も見える寒さである。春となって二月上旬。 |
252 |
梢 |
梅の梢 |
まだ梅の梢に雪も見える寒さである。春となって二月上旬。 |
263 |
サクラ |
山桜 |
毎夜、庭の山桜には、水々しい月がのぼった。 |
263 |
白木 |
白木の小箱 |
その晩、白布につつまれた白木しらきの小箱と、半兵衛の書簡とが、 |
265 |
庭木 |
庭木 |
奥と細工場とは、雨でも降ると不便なほど、庭木を隔てて離れていた。 |
266 |
鳴子 |
裏門の鳴子 |
旅人は眼をくばった。裏門の鳴子を聞いたからである。 |
272 |
森 |
一叢の森 |
一叢(ひとむら)の森の中に児屋郷の古刹昆陽寺がある。 |
278 |
森蔭 |
森蔭 |
しかし加藤八弥太に引かれて新七は附近の森蔭まで行った。 |
278 |
木の根 |
木の根 |
「木の根へでも腰かけろ」 |
291 |
つる |
藤棚から藤のつる |
池のなぎさは微かにわかるが、藤棚から藤のつるが思いのまま伸び蔓延っているし、 |
291 |
フジ |
藤棚から藤のつる |
池のなぎさは微かにわかるが、藤棚から藤のつるが思いのまま伸び蔓延っているし、 |
291 |
大樹 |
亭々たる大樹 |
所々には、亭々たる大樹が二重に空を蔽っている。 |
291 |
藤棚 |
藤棚から藤のつる |
池のなぎさは微かにわかるが、藤棚から藤のつるが思いのまま伸び蔓延っているし、 |
291 |
林 |
丘や林 |
およそ城の中のわけても搦手寄りの方は丘や林や浅い谷などもあって、 |
293 |
裏戸 |
家の裏戸 |
とその人が家の裏戸へ駒を寄せると、小娘のお菊はいつも、 |
294 |
土台 |
建物の土台 |
建物の土台と池水との境に、わずかに幅一尺か二尺の自然に溜った泥土がある。 |
295 |
つる |
藤の蔓 |
(藤の蔓ならば忍び入れるものを) |
295 |
フジ |
藤の蔓 |
(藤の蔓ならば忍び入れるものを) |
295 |
藤づる |
藤棚の藤づる |
そしてそこまで、藤棚の藤づるは這いこんでいた。 |
295 |
藤棚 |
藤棚の藤づる |
そしてそこまで、藤棚の藤づるは這いこんでいた。 |
295 |
藤棚 |
藤棚 |
藤棚のうえを、ざわざわ風が渡ってくる。 |
296 |
フジ |
藤の葉 |
ただ一つの明り窓からかすかに聞える藤の葉の風を、 |
296 |
板床 |
板床 |
そして、真四角な暗闇と板床であること。 |
296 |
葉 |
藤の葉 |
ただ一つの明り窓からかすかに聞える藤の葉の風を、 |
297 |
格子 |
格子組 |
が、自らぎょっとして、横の、頑丈極まる格子組の方を、窺 |
297 |
板壁 |
板壁 |
そしてそこの板壁へ、耳も体もつけて、しばらく心を落着けていると、 |
298 |
フジ |
藤の枝 |
高窓の際に仰がれる藤の枝は、為に、ゆさゆさ揺れた。 |
298 |
枯木 |
枯木 |
ふと、枯木のような腕を上へ伸ばした。 |
298 |
枝 |
藤の枝 |
高窓の際に仰がれる藤の枝は、為に、ゆさゆさ揺れた。 |
298 |
藤蔓 |
藤蔓 |
窓から這い入っていつか伸び放題の姿態をしていた藤蔓の先であった。 |
299 |
フジ |
藤の枝 |
仰ぐ窓辺の、藤の枝が揺れている。いや答えてくれる。 |
299 |
枝 |
藤の枝 |
仰ぐ窓辺の、藤の枝が揺れている。いや答えてくれる。 |
300 |
藤蔓 |
藤蔓の揺れ |
絶え絶えに口走っては、藤蔓の揺れるのを見上げていた。 |
301 |
朽木 |
朽木船 |
まもなく二人の兵が、小さい朽木船の棹をついて、こなたへ渡って来た。 |
301 |
木蔭 |
木蔭 |
木蔭に立って、さっきから彼女の挙動に目をそそいでいたものらしい。 |
310 |
高櫓 |
高櫓 |
この城の高櫓にのぼって、城下を一眸にながめれば歴然とわかる。 |
311 |
柵 |
塀や柵 |
また壕に沿って、塀や柵を二重三重に植て繞らす工事だった。 |
318 |
一葉 |
一葉一葉 |
以来、城中の士気は、一葉一葉落ちてゆく晩秋の喬木にも似ていた。 |
318 |
喬木 |
喬木 |
以来、城中の士気は、一葉一葉落ちてゆく晩秋の喬木にも似ていた |
322 |
土木 |
土木 |
城外を掘り繞(めぐ)らす大袈裟な土木なども中止してよかろう。 |
327 |
槍長柄 |
槍長柄 |
槍長柄など、思い思いの打物をかかえていた。 |
328 |
森陰 |
森陰 |
途中の森陰を繞(めぐ)ると、視野からまっすぐに丘が見える、 |
329 |
柵 |
柵 |
彼等は丘の西方から柵を破って搦手へ駆け上った。 |
330 |
格子 |
格子組 |
格子組のすぐ外まで来ているし、黒い火屑は大床を吹きこがされて自分の膝のそばにも溜った。 |
330 |
棒 |
赤な棒 |
附近の木々までばちばちと火の音をはぜて真っ赤な棒と化しかけている。 |
330 |
木々 |
附近の木々 |
附近の木々までばちばちと火の音をはぜて真っ赤な棒と化しかけている。 |
330 |
櫓 |
櫓 |
今や櫓の三重あたりまで燃えのぼっている大きな炎であった。 |
332 |
フジ |
藤の葉 |
その藤の葉もはや落ちかけて、真っ赤な秋風に焼かれようとしていた。 |
332 |
藤蔓 |
藤蔓 |
それはつい百日ほど前にここの高窓の藤蔓を外から揺りうごかしてしきりに自分を呼んだことのあるあの女性の声である。 |
332 |
葉 |
藤の葉 |
その藤の葉もはや落ちかけて、真っ赤な秋風に焼かれようとしていた。 |
334 |
樹木 |
樹木 |
目じるしとする建物も樹木も火や煙につつまれ、 |
336 |
松林 |
松林 |
松林のあいだを、下へ向って駆け下りた。 |
336 |
藤棚 |
藤棚 |
「どこぞで、池は見ないか。藤棚のある池を」 |
336 |
落葉松 |
落葉松 |
落葉松もそこらの灌木もみな煙をあげていた。 |
336 |
灌木 |
そこらの灌木 |
落葉松もそこらの灌木もみな煙をあげていた。 |
337 |
フジ |
藤の木 |
彼女は藤の木につかまった。そして死にもの狂いで高いところへ攀(よ)じて行こうとしていた。 |
337 |
藤棚 |
藤棚 |
池の水、そして広い藤棚。 |
338 |
格子 |
格子組 |
べつな入口から入って獄屋の大床を区切った太い格子組の前に出ていた。 |
338 |
古材木 |
古材木 |
約二間半ほどもある角の古材木が一隅に寄せつけてあるのを見つけ、二人してこれを持ち、撞木で大鐘を撞つくように、 |
338 |
撞木 |
撞木 |
約二間半ほどもある角の古材木が一隅に寄せつけてあるのを見つけ、二人してこれを持ち、撞木で大鐘を撞つくように、 |
339 |
枯木 |
枯木 |
彼はなお枯木のような膝を組んで坐っていたのである。 |
341 |
角木材 |
角木材 |
母里太兵衛はさきに用いた角木材でふたたびそこを大きく破壊した。 |
341 |
牢格子 |
牢格子 |
打ち壊した牢格子のあたりもすでに火焔で塞がっている。 |
344 |
杖 |
杖 |
そばに落ちていた槍を拾って、それを杖に立ち上がった。 |
346 |
戸板 |
戸板 |
「・・・・乗っているのは戸板かな?」 |
347 |
戸板 |
戸板 |
善助は、戸板の担架を担っている兵に、しばし歩行を留めさせて、前後に従う武者たちに、 |
348 |
戸板 |
戸板 |
官兵衛はさすがに嗄(か)すれて糸のような声ではあったが、戸板の上に仰向いたまま、 |
349 |
巨木 |
巨木の根っこ |
れを動かすには巨木の根っこを持ち上げるほどな力が要りそうに思われる。 |
349 |
根 |
巨木の根っこ |
れを動かすには巨木の根っこを持ち上げるほどな力が要りそうに思われる。 |
352 |
戸板 |
戸板 |
信長の顔は、彼の戸板の枕頭に近づきつつあるのであった。 |
353 |
戸板 |
戸板 |
仄(ほの)かに秋の朝となった地上を戸板の上から眺めて、 |
355 |
戸板 |
戸板 |
戸板に臥されたまま、滝川殿のお心入れに依る医師、 |
357 |
戸板 |
戸板 |
敵方の病人とも思われないが、戸板のうえに横臥(おうが)したまま、 |
359 |
戸板 |
戸板 |
うちへ入って行った戸板の上の人と信長との今朝の会見を想像して、 |
359 |
戸板 |
戸板 |
そこを入った戸板の担架と護衛の人々は、一時病人の戸板を、 |
359 |
戸板 |
戸板 |
そこを入った戸板の担架と護衛の人々は、一時病人の戸板を、 |
359 |
戸板 |
戸板 |
やがて、そっと戸板の枕元へ膝を折ると、さしのぞいて、 |
359 |
戸板 |
戸板 |
前田又四郎は戸板のうえの人を見ると、 |
361 |
戸板 |
戸板 |
傷々しくとも戸板のまま地上に寝かしておくしかなかった。 |
363 |
濡 |
濡 |
秋のあかるい陽のいっぱいに射している広い濡縁を大股に歩み出していた。 |
364 |
戸板 |
戸板 |
戸板の上から小声で官兵衛がたずねた。 |
364 |
戸板 |
一枚の戸板 |
地上にある一枚の戸板と、そのうえに横臥されている平べッたい一個の人体だった。 |
365 |
枯木 |
枯木 |
彼はなお枯木のような膝を組んで坐っていたのである。 |
371 |
戸板 |
戸板の上に |
そこには官兵衛孝高が、まだ戸板の上に、身を支えられて坐っていたのである。 |
373 |
戸板 |
戸板の上に |
怺湯(こら)えようとすればするほど、戸板の上に俯伏ている身は |
374 |
戸板 |
戸板の上から |
動かぬ身を、無自覚にもがかせて、戸板の上から哭(な)くが如く叫ぶが如くいった。 |
380 |
松風 |
松風の声 |
善助の影も見えず、ただ窓外の松風の声だけがひとり夜更けを奏でていた。 |
382 |
フジ |
藤蔓 |
夏の初め、まだ藤蔓の嫩(わか)いころだった」 |
388 |
杖 |
杖なし |
杖なしでやっと歩ける程度である。 |
389 |
梢 |
梢 |
「人の死は、梢のものが、地に帰するようなもので、 |
394 |
柵 |
柵の破壊 |
到るところ柵の破壊されたあとや塹壕のあとが見られ、 |
400 |
具足櫃 |
具足櫃 |
かねて生前からととのえておいた具足櫃(ぐそくびつ)の中の数珠と法衣を求めて、 |
400 |
数珠 |
数珠 |
かねて生前からととのえておいた具足櫃(ぐそくびつ)の中の数珠と法衣を求めて、 |
409 |
木の皮 |
木の皮 |
「城中にはもう食うべき草も木の皮もありません、 |
412 |
木像 |
木像 |
「官兵衛は生きておるからな。木像では前例にならぬよ」 |
412 |
木像 |
木像 |
彼の叔父にあたる者の木像を輿に乗せて陣頭にかつぎ出し、 |
417 |
根 |
草木の根 |
草木の根を食い野鼠死馬の骨を舐(ねぶ)りおうて戦ったことも、 |
417 |
草木 |
草木の根 |
草木の根を食い野鼠死馬の骨を舐(ねぶ)りおうて戦ったことも、 |
420 |
草木 |
草木 |
草木も枯れてしまう酷(きび)しさだが、 |
420 |
木 |
木や草の芽 |
何となく寒土から木や草の芽が萌もえ出るようなものが残る。 |
428 |
手斧 |
手斧のひびきは |
天守閣が建つ所の鑿の音や手斧のひびきは、 |
428 |
鑿 |
鑿の音 |
天守閣が建つ所の鑿の音や手斧のひびきは、 |
429 |
普請 |
普請は普請 |
しかし、普請は普請、戦いは戦いで、 |
429 |
普請 |
普請は普請 |
しかし、普請は普請、戦いは戦いで、 |
431 |
木の香 |
木の香 |
木の香、丹青すべて新しき城に坐して、秀吉は初めて、こういった。 |
435 |
タチバナ |
橘 |
また従来の家紋は、橘であったが、それも更(か)えて、藤巴(ふじどもえ)とした。 |
435 |
フジ |
藤巴 |
また従来の家紋は、橘であったが、それも更(か)えて、藤巴(ふじどもえ)とした。 |