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小説と木

樹種「ケヤキ」の素敵な文章

文学小説の中でケヤキの出現回数は第四位になりますが、これは井上靖の「欅の木」があるためです。この本での出現 は380回で、すべての小説の中での樹種としては水上勉の「櫻守」に次ぐ二位となります。
ケヤキは樹形が大変美しく、若葉は井上靖、川端康成、東山魁夷がその美しさを絶賛しました。葉がすっかり落ちても、裸になった樹の美しさは箒を逆さまにしたようで、空を掃除できるようです。下の写真をご覧下さい。自宅近くの公園ですが、夏と冬の2つをつけました。
ケヤキの名前を小説に入れた作家は30名います。また1つ以上スギの名前を使った小説としては48ありました。
すべての小説での出現回数は550箇所ありました。

最も出現回数の多い作家は先に述べた井上靖で380箇所、 次は幸藤沢周平で18箇所です。
以下、水上勉の15箇所、島崎藤村の10箇所、城山三郎の9箇所、早川謙之輔の8箇所、高田宏の7箇所、三島由紀夫の7箇所、松本清張の5箇所、夏目漱石の5箇所、梶井基次郎の4箇所でした。(以下省略)

また小説別では、藤沢周平の「静かな木」13箇所、城山三郎の「官僚たちの夏」9箇所、早川謙之輔の「木工のはなし」8箇所、高田宏の「木に会う」7箇所、三島由紀夫の「金閣寺」6箇所、水上勉の「凩(こがらし)」6箇所、島崎藤村の「夜明け前」5箇所、島崎藤村の「千曲川のスケッチ」4箇所、夏目漱石の「三四郎」3箇所、三浦綾子の「塩狩峠」3箇所、深沢七朗の「楢山節考」3箇所、水上勉の「飢餓海峡(下)」3箇所、水上勉の「櫻守」3箇所、谷崎潤一郎の「少年」3箇所でした。(以下省略)

以下に面白い、素敵、綺麗な表現のあるものをピックアップします。ケヤキに関する情報と写真はコチラ

夏目漱石の「三四郎」
大きな欅(けやき)の下から高い空をのぞいたら、普通の空よりも明らかに見えた。 (34頁)
島崎藤村の「千曲川のスケッチ 」
野も暗い灰色に包まれ、八幡の杜のこんもりとした欅の梢も暗い茶褐色に隠れて了った。 (103頁)
梶井基次郎 の「冬の日」
霜に美しく灼けた桜の最後の葉がなくなり、が風にかさかさ身を震わすごとに隠れていた風景の部分が現われて来た。 (162頁)
井上靖の「欅の木」
けやき、けやきと、けやきのことばかり言うな。けやきばかりが木ではない (112頁)
くるまが一台ふえると、けやきが一本枯れて行く 143頁)
「この前は冬眠中のけやきでした。それは、いまは眼を覚ましています。けやきの本当のきれいさを知るには、いまのけやきをごらんにならなくては」 (187頁)
けやきと話をし、けやきの相談にのってやり、けやきが悲しいときはいっしょに悲しみ、けやきが嬉しい時にはいっしょに悦んでやる (188頁)
夜のケヤキ 夜のケヤキ

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