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小説と木

樹種「アオギリ」の素敵な文章

中国原産の落葉する高木てせす。生長が早いので、公園や街路樹として多く植栽されています。昔は下の文例のように梧桐(ごとう)と書きました。

以下に面白い、素敵、綺麗な表現のあるものをピックアップします。アオギリに関する情報と写真はコチラ

二葉亭四迷の「浮雲」
秋の日影も稍(やや)傾いて庭の梧桐の影法師がが背丈を伸ばす三時頃、お政は独り徒然(つくねん)と長手の火鉢に凭(もた)れ懸ッて、(65頁)
夏目漱石の「それから」
縁側から外を窺(うかが)うと、奇麗な空が、高い色を失いかけて、隣の梧桐の一際濃く見える上に、薄い月が出ていた。(155頁)
夏目漱石の「永日小品」
茫然と、枝を透かした梧桐の頂辺を見たまま立っている。(139頁)
夏目漱石の「吾輩は猫である」
蝉のもっとも集注するのは青桐である漢名を梧桐と号するそうだ。(230頁)
夏目漱石の「吾輩は猫である」
ところがこの青桐は葉が非常に多い、しかもその葉は皆団扇くらいな大さであるから、彼等が生い重なると枝がまるで見えないくらい茂っている。(230頁)
夏目漱石の「吾輩は猫である」
静かなる小春の風が、杉垣の上から出たる梧桐の枝を軽か誘ってばらばらと二三枚の葉が枯菊の茂みに落ちた。(13頁)
田山花袋の「田舎教師」
堂のそばの高い青桐からは雨滴が泣くように落ちた。(112頁)
梶井基次郎の「冬の日」
低地を距てた洋館には、その時刻、並んだ青桐の幽霊のような影が写っていた。(163頁)
アオギリ

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