オルゴールで各木材の音を試聴
無垢の木材、合板等の加工材、さらにプラスチック系の部分もデータを整理し、手近の材で実際にバツフルを造り、比較試聴を
してみました。
私の好みは、低域が豊かで柔らかめの、ホールで響くような音です。
その視点からの評価であることをあらかじめお断わりしておきます。
私は以前から、材料の音質を検聴するのにオルゴールを用いてきました。その結果と、スピーカーボックス材料としての相関に興味がありましたが、結果は全く同じでした。
オルゴールを比重の小さい(0.4以下)材に当てますと、やや芯のない、低音寄りの音を発します。
低音が出るということは、低音で盛大に振動していることにほかならず、スピーカーボックスでは箱鳴りの低音が盛大で、量は豊かですが音の芯は得にくい結果になります。
比重の中程度(0.4~0.6)の材料では、芯はかなりしっかりしたものになり、低音、中音、高音がバランスよく響きます。
中でもスプルースの響きは美しいの一語に尽き
ます。桧、唐松、米松も優れた響きです。
スプルースよりも芯は若干しっかりしています。音の味わいを楽しむには、この比重帯が最適です。
この比重帯でのボックスは、音色の微妙な好みはもちろん考えなければいけませんが、どの材を用いても大失敗は
ないと言い切ってもよい特性を有します。
ただし、合板はこの比重帯に属しますが、構造的に強度が大きく、響きはこれから記す比重0.6以上の広葉樹の範囲の鳴り方です。
比重0.55以下はだいたい針葉樹が占めます。
ランバーコアはその名のごとく、構造の大部分を占める芯材が比重の小さな木材ながら無垢材の集成で、両面のみ強度をもたせるためにわずかの部分、直交する合板構造になっています。
音質は無垢に準じ、
穏やかな音調です。
桧とかスプルースのように比重は小さいが響きの美しい無垢材を使いたいとお考えの際は、厚い材を用い、単位面積あたりの質量を増やし、低音域のしまりを図られるとよいでしょう。
比重が0.6以上の広葉樹とかMDF、プラスティックは、一部を除き大体高音域が勝って聴こえます。比重が大きくなるほどこの傾向が強くなります。
材料は振動しにくくなり、スピーカーユニットの振動板の動きが忠実に音吐として再生される感があります。
音は芯がありクリアで、エネルギー感もあります。
ただ、材料の強度が上がるほど、比重が大きくなるほど高音域の共振は強くなります。このあたりの処理を適切にしませんと、忠実にきこえるが疲れる音になります。
MDFはその点、低音も適度に
共振しますので、かえつて使いやすいかもしれません。ただし主観的な音色の好みはもちろん別の問題です。