木を使うことと木を使わないことは
どちらが地球にやさしいのか
木材や森林は地球環境にとって非常に大切なものになってきています。こう言いますと、「自然環境に森が大切なんだ」と思われるかもしれませんが、それはそれで確かに大切ですが、もっとドライな意味で大切なのです。それは最近問題になっている、地球温暖化です。この温暖化の最大の原因は炭酸ガスの放出です。この炭酸ガスはエネルギーを使うと発生します。電気を起こすためには重油を燃やして発電する必要がありますし、輸送のためにはガソリンが必要です。それで、色々な材料を製造する時に発生する炭酸ガスを比較しますと、鉄は木材の3.5倍、プラスチックで44倍、アルミニウムにいたっては146倍もの炭酸ガスを放出します。おまけに木材であれば、森林の状態の時には炭酸ガスを吸収していますから、木材は植林して使えば使うほど、炭酸ガスの放出量はマイナスになるということになります。ところが人間と言うものはだまされやすいもので、鉄骨ハウスの宣伝文句は「木材を使わないので森林保護になり環境にやさしい住宅です」と全く反対の宣伝をしていますし、一般の人もそのとおりだと思っています。つまり森林伐採イコール環境破壊と言う考えです。しかし、過度の焼畑農業をして原生林を破壊するのと、植林された木材を伐採するのでは全く状況が違います。それは野生のバッファローと、松阪牛を同じレベルで保護すべきと考えてしまうのと同じことです。又、以前よく話題になった割り箸を使わない運動と同じく環境保護を訴えて実は環境破壊に荷担していることになってしまいます。
今ヨーロッパでは地球環境保護のために炭素税をかけようとしていますが、これを厳格にすればするほど、木材を使う方向に行きますので我々は是非、地球環境保護の運動を徹底していただければありがたいと思っています。しかしどういう訳か一般の人は環境保護をすればするほど木材産業はダメになると思っておられます。
木材は再生産できる資源であり、副産物として炭酸ガスを吸収し酸素を放出するという誠にすばらしい資源であるということをご理解ください。
制作 中川博司