ヨーロッパでは産業革命まではと言うかコークスが発明されるまでと言うかともかく鉄が大量生産されるまでは木が国家の運命を左右しましたから、木材に対する政府の関心は非常に大なものがありました。イギリスでは必死にオークの木(楢の木)を育てようと時の海軍大臣はいつもポケットにドングリを入れて、あちこち行く度に植えて廻ったり、森林を国王の管理下に置き、伐採を管理したりしました。これはオークの木がないと船が作れない、船がないと戦争に負ける。…ということで、木があるかないかは国家の運命そのものでした。日本でも、太平洋戦争中に大量の木を伐採した反省から、森林のあるなしは国の存亡にかかわるということで、天皇陛下は毎年日本各地で植樹祭を行い国民に木を植えるように訴えていますし、募金の中にみどりの羽根募金と赤い羽根募金がありますが、このような国をあげてする募金活動は恵まれない人のための「赤い羽根募金」と森林育成のための「みどりの羽根募金」の2つしかありません。間違えても鉄鋼業界のための「鉄の羽根募金」もなければコンピューター業界のための「シリコン羽根募金」もありません。このように森林や木材は、産業や国家のために非常に大切なものでした。