手のうら返す如く人心上下とも悲しむ
べき世の有様なり餘りの事にて長く嘆
息々々
只今書状認中承り候処或米屋大体
富商ニ御座候処本文の如く小民蠅の如
く群集いたし口々に壱升二百文ニて売
呉候やう申立候処米屋も多人数の事ニ付
殊に追々聞込候事も有之故小民ニ向ひ直
段ハいか様ニても不苦持帰り候やう申入候処
暫時の間ニ手毎ニ入物勝手二持込持出
出し追ニ雲霞の如く集り来りもはや米
店出し切無之故米蔵ニ目ヲ付俵ニ入有
之候黒米口切持帰り候処壱人俵のまま
かたげ持帰り候得は馬士やうの者三俵馬
ニ附帰リ追々如此ニ相成リ一蔵さっぱり
空虚ニ相成候由言語同断目もあて
られぬ事共ニ御座候
一或米屋ニは役すしへ制し方相頼制
し候処却て怪我人有之由密々
追て別紙