尤も例の追風捕顕候様は風説区々
有之備中乱妨候後浪客不残船ニて
何方へか退散仕候よし風説ニて中山殿旧蹤
の通堺ノ浦より和州へ入被申候事も申立又ハ
貝塚へ上り夫よりハ行方見不申候杯申事一大
虚声万犬傳実候様との事候得共府下其
事にて人心洵ニ御家中士人ハ槍銃を携
諸方へ奔走いたし町内は木戸々々入切町人
六七人又ハ十人ツツ立番いたし尤商売処ニて
ハ無之米ハ益上リ白米八百九十匁と登りリ
事の由黒江日方同様の由と申事と相聞候
御郡も御同然被為入御代官所より被仰出候
て浦々見張地士へ被仰付候一昨日より出役被
申候事ニ候平日何等の御用承リ事も無之候間
ケ様の御時ハ尤精勤可申事ハ申?も無之併
大事ニ及候時ハ中々地士位ニてハ御六ヶ敷次第
ト深く驚入候
浪花某人より為斎へ来信写し拝見被仰付
敬読仕扨々驚愕の事と存候薩人四五千
昨冬来上京事ハ兼て承り及候事ニ御ざ候