慮不一形候処一昨又々主人父子多年
の誠意土民一統の情実共巨細ニ
聞召届被下候ては寝早平常の御沙汰
をも可被仰出候御事とのこと闔国奉謁
望居処今般御達し振ニては何か不取留
道路の風説を伝聞致し乍恐闔国意
外の御沙汰振ニ付可立置哉と疑惑の
餘り憂憤ニ不堪差起リ候ては可有之哉何
共不相済次第ニ付猶国許ハ勿論捕方
手配等急速厳重申付候得共他国へ罷
出候義も難計為念不取敢御達置候間
万一貴国ヘ罷出候ハハ被召捕被下候様致度御
頼候此段
幕府向へも宜様御届被成置被下候様支度
御頼いたし候 以上
毛利大膳
四月 家老中
別紙の通り毛利大膳家来申出候旨
松平安芸守より相届候間為心得相達候