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日本人と木の文化

第5章広葉樹像の系譜と大陸との交流

2.ケヤキ系への抵抗感

ケヤキ系の材はこれで平物の彫刻を彫るときには、あらが見えないから差し支えないが、丸物を彫るとぼろぼろして欠ける恐れがある。特に緻密な彫刻を彫るには不向きである。そのうえ木肌には道管の溝があるため滑らかではないから、漆下地や色付けにも好ましいものではない。ケヤキ系の特長は、材質が硬く木目が顕著にあらわれるところにある。このような材質感は、西洋風の彫刻を彫ったり、洋家具を作るにはふさわしいが、仏像彫刻には適当であるとはいえない。
 前にも書いたように、ケヤキのような環孔材の木肌が、私たちの生活の中に入ってきた歴史はずっと新しい。建築では桃山時代、彫刻では明治時代以降と考えてよい。ケヤキが明治時代になって彫刻材として使われ始めた事情は、前記の『木材の工芸的利用』の中の次の文章をみるとよく分かる。その中には明治の末年のころ、展覧会に出品された木彫の用材のことが解説してある。そこではケヤキのような環孔材が、明治末年になって新しい様式の彫刻に採用されるようになったことを指摘したのち、「これらの材は彫刻家の間に異説あるのみならず、その嗜好も如何あるべきやと考えられるにより、この木については、しばらく将来の趨勢をトせんとす」と書いている。
 長くヒノキやスギの白木の肌に親しんできた人たちにとっては、明治も末年に近いその頃においてすら、ケヤキのバタ臭い木肌は、異質なものに見えたのである。この文章はそのことをよくいい表している。私が彫刻用材を三分類しようという考え方をもったのには、もう一つの理由がある。それは明治から昭和に至る代表的な木彫について、様式と材料の関係を調べてみたことがある。その結果を要約すると、木肌を表した素木彫刻の中で、西洋的な題材の彫刻にはほとんど広葉樹が使われており、日本的な題材もしくは伝統的な様式の彫刻には、ヒノキが使われていることが分かった。ちなみに名匠黒田辰秋氏の作品の大部分にはケヤキが使われている。氏の作風にはケヤキの材質が大きく貢献しているのである。そうした資料をふまえて私は前記のような三分類が、彫刻用材の推移を考えていくうえで、有力な物差しになると思っているのである。 さて当時の仏像をこうした立場から調べてみると、ここに述べたケヤキ系の仏像が多く安置されているのは、唐招提寺である。一方この寺には針葉樹系の優れた仏像も数多くある。針葉樹の仏像をつくるのは容易だが、ケヤキ系の木は堅くて重く、加工が難しいうえに、狂って割れやすい。そのうえ肌がざらざらであるから、漆や彩色の仕上げにも向かなかったはずである。この寺に針葉樹の像と広葉樹の像が混じって並んでいるところに私は興味を持った。
 明治の末年においてすらケヤキ系の木肌に抵抗があったことを考えると、この時代の彫刻に広葉樹が使われた理由を、単にヒノキの欠乏ということだけで説明するのはいささか無理があるように思う。この点に疑問をもって、私はケヤキ系の源流になる何らかの手掛りがないかと調査していたのであるが、次のような興味ある事実に気がついた。以下はその事実をもとに、私の組み立てた推論である。

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