学名はEusideroxylon zwageri Teijasm、クスノキ科の樹木です。
いろいろな名前で呼ばれており、Tambulian(タンブリアン);sakian(サキアン)【以上フィリピン】、borneosch ijzerhout;kayu besi(カユベシ) ;Bajujang (バジュジャン); Billian(ビリアン) ;belian(ヴリアン);Tabulin(タブリン);Tihin ;Telian、Tulian Telian; Uulin(ウリン); Onglen ulin 【インドネシア・カリマンタン】、Belian;Bulian、Onglen;Rambai【インドネシア・スマトラ】、Tambulian(タンブリアン) ;Tambusian(タンブシアン) 【マレーシア サバ】、Belian(ベリアン);Billian(ビリアン)【マレーシア サラワク】、im muk; yam muk 【広東、福建語 マレーシア サバ】、ku an tin 【香港】、bilian;bois de fer de Borneo 【フランス】、Billian(ビリアン);palo de hierro de Borneo 【スペイン】Billian(ビリアン);legno ferro del Borneo (レーニョフェロディボルネオ)【イタリア】、borneo-järnträ 【スウェーデン】、Borneo’s ijzerhout; onglen;Palembangs ijzerhout;oelin 【オランダ】、Borneo eisenholz;Billian(ビリアン) 【ドイツ】、Billian(ビリアン);Borneo ironwood(ボルネオアイアンウッド) 【英国、米国】など。より詳しくはコチラ。
日本でも、ボルネオ鉄木、ボルネオアイアンウッド、ビリアンと呼ばれてきましたが、ウッドデッキに利用されるようになってきてから、ウリンの名前が定着してきています。また世界的な木材の商業名はウリンが一般的です。
樹高30~40m。直径80~120cm。大きな木は時々樹周3.7mを越え、ほぼ通直で無枝の幹と薄く楕円形の樹冠を持ち、幹の根元は根張りや盤根(ばんこん)はありません。抵抗力は強く、皮はほとんど平滑で通常赤褐色であるが、変化もあり様々な褐色をしています。
また、老齢樹には空洞が多く、現地で聞いた話では、生命力も強く自然木(丸太)の幹の下部を土に埋めると根が生え、幹からや樹皮の下から芽が出て木になるといいます。
しかし、 成長は遅く、直径30cmに達するまでに120年もかかります。
分布はマルーシアのサバ、サバラワク、インドネシアのカリマンタン、スマトラ、バンカ島,ビリトン島,フィリピンのタウィタウィ島等です。とくにサバの東海岸に多く分布しています。沖積土(ちゅうせきど)の湿潤な海岸を好み、また海抜150m以上(インドネシアの場合は50m以上400mぐらい迄で生育)には生育しないといわています。
特長の1番は世界中の木の中で最も重硬ということです。日本では“鉄木”の名がついたのもこのためです。インドネシア語でもカユブシ(kayu besi=鉄の木)の名前で呼ばれています。ウッドデッキ用として注目されてきましたが、当初はプロの大工さんでも硬すぎると使いこなせなかったものです。
特長の2番目は耐久力があることです。白蟻および海中木食虫に、非常に抵抗力があります。特に屋外では異常に耐久力がある木材で、最近開発された人工木材(木とプラスチックの混合)よりも耐久性があることが証明されています。地面に接していても、水中でも非常に耐久力があります。
特長の3番目は強度です。広葉樹でありながら構造材になりうる木です。かなり昔から北ボルネオ山林局の(Timber of North Borneo)の試験表によると英国産のオークより曲げ応力および剛性は、約50%強いことが示されています。
欠点としては重いことです。気乾比重は0.83~1.14です (資料により0.85~1.15で平均0.96、また0.961~1.12等) 。そのためウリンの多くは水に沈みます。家庭用のウッドデッキの製作などでは軽いレッドシダーと比べると、作業が大変なものになり、加工も普通の木材より困難です。切断などは一般素人が行うのは困難で、プロ職人か工場加工に任せなければなりません。
ビス打ちは下穴を空けることが条件で、一般のビス、あるいは専用ビスでもねじ切れてしまうことがあります。(写真参照)機械工具は利用可能ですが、刃のメンテに注意しなければなりません。加工後は平滑面に仕上げることができます。
生長輪は普通明らかでありませんが、心材と辺材の色の差はあります。伐採した当時の心材の色は、黄褐色から赤褐色まであり、淡い薄緑色をしており、外気にさらせば濃褐色に変ります。 辺材は広くはなく、淡黄白色から帯黄色で外気にさらせば暗色に変ります。
木理通直またはわずかに交錯し、肌理は適度に細かくて光沢あります。
材は乾燥が遅く、緩やかに乾燥すれば、曲りや干割れを生じませんが、そうでなければ表面割れが出てくるので少し困難です。収縮率は少ないです。
マレーシア、インドネシアなどの産地では「100年耐える木」と言われ 高級構造用材、特に耐久力および強度を要する主要構造用材として波止場材、橋梁材、海水中の杭、桟橋、カヌーや船、運搬車、電柱類、民芸品、胡椒の支柱、桶樽、民家の屋根板などにも使われ、生活に欠かせない木とされてきました。
しかし供給量は現在少くなってきて、価格も高くなり現地での利用は極端に少なくなっています。マレーシア、カリマンタンの住民の伝統的な家屋の屋根はウリンの薄い板を重ねています。ウリンは固いが縦に裂くことは容易であるので薄板にして屋根を葺きます。瓦やトタンより丈夫です。長い間には風化と汚れで黒くなることが特徴です。インドネシアのカリマンタンの町(バンジャルマシン、サマリンダ、ポンティアナック)では官庁、民家の屋根が黒くなっているのがウリンです。(写真参照)ジャワの赤い瓦に慣れた目には黒い屋根はカリマンタンの町の風景です。
現在の日本においては、ウッドデッキ、フェンスなどの屋外構築物や唐木類の代用、その他特殊用途に利用されています。
昔“幸福の木”と言う名の観葉植物として導入されていて、可愛い赤い若葉がある、これはまさしくウリンです。しかし現在はドラセナ (リュウゼツラン科ドラセナ属)にとって変わられています。
ダヤックのロングハウスの構造は、通常、ウリンを使用して構築されます。また、中国人には棺桶の木として高く評価されています。