ウリン詳細 木材関係
解説
学名は
Eusideroxylon zwageri Teijasm、
世界的な木材の商業名はウリンが一般的です。
マレーシア、インドネシアなどの産地では「100年耐える木」と言われ 高級構造用材、特に耐久力および強度を要する主要構造用材として波止場材、橋梁材、海水中の杭、桟橋、カヌーや船、運搬車、電柱類、民芸品、胡椒の支柱、桶樽、民家の屋根板などにも使われ、生活に欠かせない木とされてきました。
しかし供給量は現在少くなってきて、高くなり現地での利用は極端に少なくなっています。マレーシア、カリマンタンの住民の伝統的な家屋の屋根はウリンの薄い板を重ねています。ウリンは固いが縦に裂くことは容易であるので薄板にして屋根を葺きます。瓦やトタンより丈夫です。長い間には風化と汚れで黒くなめことが特徴です。インドネシアのカリマンタンの町(バンジャルマシン、サマリンダ、ポンティアナック)では官庁、民家の屋根が黒くなっているのがウリンです。(写真参照)ジャワの赤い瓦に慣れた目には黒い屋根はカリマンタンの町の風景です。
マレーシアのダヤク人は死者の遺骨をサンドゥン(sandung)に安置します。死者の魂の安置所は永遠のシンボルであるウリンで作られます。
また、つる性植物の胡椒を這わせる支柱の用途としても重要です。畑の中に重い木を運ぶのは大変ですが、植えてから10年以上の収穫がある胡椒の支柱としてはウリンは最適です。普通の木ではすぐ腐るか、白蟻にやられてしまうからです。
1970年代を中心にラワン材などの熱帯林が輸出用のため伐採され現地から輸出されていましたが、ウリンは固すぎるため合板には不適当で伐採を免れました。
太平洋戦争中に日本は鉄不足のためウリン製の歯車を使用したという話も聞いたことがあります。 現在の日本においては、ウッドデッキ、フェンスなどの屋外構築物や唐木類の代用、その他特殊用途に利用されています。
昔“幸福の木”と言う名の観葉植物として導入されていて、可愛い赤い花が咲くと聞きましたが、これはまさしくウリンです。しかし現在はドラセナ (リュウゼツラン科ドラセナ属)にとって変わられています。
現在、中国ではコクタン(黒檀)の代用に家具方面に使用されているといわれています。
マレーシア・クチン(Kuching)にあるモスクでは原柱に利用され100年を経たものもあります。
ウリンは重宝されている木ですが、成長が遅いことや、生育できている高度に制限、現在までの多くの伐採等のことから、用材として供給することが困難になるのではないかと思われます。
木材
物理性質
1%当たり収縮率 (単位%) |
全収縮率 (単位%) |
(単位kg/cm2)
|
接線方 |
半径方向 |
収縮接線 |
収縮半径% |
曲げヤング係数 |
縦圧縮強さ |
縦引張強さ |
曲げ強さ |
せん断強さ |
0.39~0.44 |
0.25~0.28 |
8.1~9.5 |
5.1~6.0 |
181~200 |
900~ |
2801~ |
1801~ |
225.0~ |
ウリンの別名
国名・地方 |
名前 |
インドネシア |
Bajujang |
Belian Timun |
Billian |
Onglen ulin |
Talion bening |
Tebelian |
Tebelian geriting |
Telianoii |
Teluyan |
Tihin |
Ulin bening |
Ulion |
インドネシア Kalimantan |
Belian |
Tabulin |
Telian |
Tulian |
Ulin |
インドネシア Sumatera |
Belian |
Onglen |
Rambai |
Bulian |
マレーシア |
Belian Timun |
Talion bening |
Tambusian |
Tebelian geriting |
Telianoii |
Teluyan |
Ulin |
Ulin bening |
Ulion |
マレーシア Sabah |
Tambusian |
im muk 広東・福建語 |
yam muk 広東・福建語 |
Tambulian 商業名 |
マレーシア Sarawak |
Belian |
フィリピン |
Biliran |
Sakian |
Tambulian |
Tambulian 商業名 |
香港 |
ku an tin |
オランダ |
Borneo’s ijzerhout 商業名 |
Oelin |
Onglen |
Palembangs ijzerhout |
英国 |
Billian |
borneo ironwood |
スペイン |
Belian |
Billian |
palo de hierro de Borneo |
palo hierro de Borneo |
イタリア |
Billian |
egno ferro del Borneo |
Legno ferro di borneo |
France |
Belian |
Bilian |
Biliran |
bois de fer |
bois de fer de Borneo |
ドイツ |
Billian |
Borneo eisenholz |
米国 |
Billian |
Borneo ironwood |
その他方言地方名、Abuin、Badjudjang(Bajujang)、Balian、Belian bulch、Belian buloh、Belian griting、Belian kapur、Belian lapis、Belian tembaga、Belian tulang、Belian wi、Boelian、Borneo eisenholz、Borneo-jarntra、Borneosch ijerhout、Bulian rambai、Buliang、Buliang gundjing、Buliang ketimun、Buliang Rambai、Buliang regis、Buliang terkujung、Caju baelian、Ijzerhout、Im muk、Kajo taha、Kajoe besi、Kajoe besi、kalang kaju ajan、Ku an tin、Lampahoeng、Legno ferro del Borneo、Oelin、Oengaliu、Tadien、talihan、talijon、Tanoedlen、telianair、telianbening、telianpipit、telihan、telisai、Terbelian、tihing、tudien、tudin、tulian kapur、tulian keras、tulianuwi、ulin kuning、ulin rotan、
参考リンク
https://id.wikipedia.org/wiki/Ulin
http://www.kayu123.com/kayu-ulin
http://www.tropicaltimber.info/specie/ulin-eusideroxylon-zwageri/
樹形
マレーシア サバ州 森林公園 2004年5月20日
葉
シンガポール植物園 2008年5月19日
ウリン製材工場 土場
▲▲ サバ ウリン専用の製材工場 2004年5月20日
ウリン製材工場
▲▲▲ サバ ウリン専用の製材工場 2004年5月20日
ウリンの屋根板
シンガポール植物園 2008年5月18日
▲▲ インドネシア バンジャルマシン 社宅 左から2人目が筆者 1972年
インドネシア ポンティアナツク 中央郵便局兼電話局 1973年
インドネシア ポンティアナツク バンクインドネシア(インドネシア国立銀行) ポンティアナック支店 1973年
インドネシア ポンティアナツク バンクダガンネガラ ポンティアナック支店 1973年
インドネシア ポンティアナツク ポンティアナック空港 右は郵便局 1971年
▲▲▲ 公共施設、上 不明 中、倉庫、下 学校 1972年
インドネシア ポンティアナツク 一般住宅 1972年
ウリンの土木用利用例 橋など
▲▲ インドネシア ポンティアナツク 1971年
ウリンのウッドデッキ
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