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前日、山口県内を撮影し、岩国市で宿泊しました。撮影3日目は広島県内の予定で最初の訪問地がこの津田の大カヤでした。到着後カメラバッグを岩国のホテルに置き忘れていたことがわかり、急遽戻りました。2時間のロスです。
さて、車のナビでは目的地付近で県道から脇道に入るようなルートになりますが、県道30号から直接境内に入ることができます。グーグルマップで確かめてください。
津田の真幡神社境内には、広島県最大の榧(カヤ)の巨木が立っています。このカヤは樹高約35メートル、幹周り5.3メートルで、地域の人々から神木として崇められ、大切に保護されてきました。旧佐伯町役場から南東約200メートル、県道30号線から少し入った場所に位置し、拝殿の左側に直立しており、その壮大な枝葉が拝殿を覆うように広がっています。
このカヤはイチイ科の常緑針葉樹で、5月頃に開花し、翌年秋には赤紫に熟す楕円形の種子をつけます。古くは種子が食用や油の原料として利用され、正月には勝栗や干柿などと共に三宝に盛られて床の間を飾る風習もありました。また、材は非常に堅く、将棋盤などにも使われることで知られています。
樹齢千年以上とされるこの大カヤは、かつてバランスの取れた美しい樹冠を持っていましたが、拝殿改築の際に一部の枝が切られ、現在はややアンバランスな姿となっています。それでも、その直幹の堂々とした立ち姿や、根元の力強い広がりは見る者を魅了し、地域のシンボルとして今なお存在感を放っています。
2024年10月27日 中川勝弘撮影