よみやのだいけいかぼく
夜宮の大珪化木は、1940年(昭和15年)に北九州市戸畑区で区画整理中に地下6メートルから発見されました。直径は最大約2メートル、長さは推定40メートルで、日本最大級の珪化木とされています。この珪化木は、トウダイグサ科の広葉樹「ニセホバシライシ」の幹に珪酸(SiO2)がしみ込み、化石化したものです。
この珪化木は、約3400~2300万年前(新生代古第三紀漸新世)の地層に埋まっていたもので、当時の植物や気候を知るうえで非常に貴重な資料となっています。1957年に国の天然記念物に指定され、現在は北九州市立天籟寺小学校の校庭近くに保存されています。
発見時の状態を保つため一部埋め戻されていますが、根元側の約12メートルは現在も地上に現れており、アクリル板や解説板、保護施設で管理されています。訪れる人は無料で見学が可能です。珪化木は、樹木が石英やオパールに変化し化石となったもので、自然の驚異を感じられる存在です。
また、解説板には次のように記されています。
国の宝、 夜宮の大珪化木
珪化木は、太古の樹木が地中に長年埋もれ化石となったものです。 夜宮の大珪化木は昭和15年(1940) 10月の工事で発見され、昭和32年(1957)2月、 日本の重要な化石として国の天然記念物に指定され保存することになりました。
最大幅が2.2m、長さは推定40m(露出部12.85m)も あり日本で最大級の珪化木です。国の天然記念物に指定されている珪化木には、この夜宮の大珪化木のほか、岩手県の根反の大珪化木(国指定特別天然記念物)や姉帯(あねたい)・小鳥谷(こずや)・根反(ねそり)の珪化木地帯、石川県の手取川流域の珪化木産地、島根県の波根西の珪化木、福岡県福岡市東区の名島の帆柱石などがあります。
北九州の珪化木と古環境
北九州市では、夜宮の大珪化木のほかに、『いのちのたび博物館』に展示されている小倉北区響灘白洲灯台東方から引き揚げられた全長18mの珪化木が発見されています。いずれもトウダイグサ科の広葉樹、ニセホバシライシ Paraphyllanthoxylon pseudohobashiraishi (Ogura) Mädelです。 現在の北九州市で観察される樹木の高さは、皿倉山でも 約25m前後、市内のイチョウの大木でも約30mです。 夜宮の 大珪化木が発見されたことで、約3500万年前のこの地は 亜熱帯性の暖かい気候の下、40mにも達 する巨木が生い茂る大森林があったことが分かりました。夜宮の大珪化木は、過 去の環境(古環境)や地球の環境変化を知 る上でも貴重な資料となっています。
2024年10月25日 中川勝弘撮影
北九州市役所 から5.2km、車で15分