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幹周囲20.78m(1996年に地上高1.2mを計測)
平成十三年の環境省の調査では、全国第一位の巨樹は鹿児島県姶良市蒲生町 「蒲生の大クス」、第二位は静岡県熱海市「来宮神社の大クス」、第三位は青森県 西津軽郡深浦町「北金ヶ沢のイチョウ」、第四位が築上町「本庄のクス」と佐賀 県武雄市「川古のクス」とされる。
『大楠宮小楠宮社記』(元禄十二年1699年)によれば、景行天皇が九州平定のため、京都郡御所ヶ谷(ごしょがたに)に行宮(あんぐう)を造営する時に、南三里のこの地に植えたと伝えられることから、樹齢1900年余とされる。古くから木芯部は空洞となっていたが、明治三十四年(1901)、 この中で火災が起こり、主幹を大きく焼失した。しかし奇跡的に第一枝からよみがえり、今の姿になるまで成長した。
クスには独特な芳香があり、古くからの防虫剤の樟脳はクスから得られる成分を用いた。クスは 五月頃に新芽を吹くとともに古い葉は赤く染まり落葉する。やがてクリーム色の小さな花が咲き、 緑色の実を結ぶ。秋になると果実は黒紫色に熟す。
宇佐神宮御柚始祭(みそま はじめさい)と本庄の大楠
宇佐八幡宮の神殿は元慶(がんぎょう)四年(880)、太政官符によって三十年に一度の式年遷宮 (建替え)が決まり、一之殿(祭神・応神天皇)の用材を切り出す杣山に築城郡伝法寺庄(築上町本庄) が選ばれ、 造営開始の前には御杣始祭がここ大楠のもとで行われた。(※二之殿は豊前市下川底白山神社、三 之殿は中津市三光臼木斧立八幡神社)
祭典では手斧始(ちょうなはじめ)の儀や奏楽に合わせ蘭陵王(らんりょうおう)の舞楽が行われた。現在の宇佐神宮神殿は安政年間に建てられ、以後遷宮はせず、十年毎に修理を行っている。
大楠の保護について
大楠は長い歴史の中で台風や大雪、病虫害、また周辺環境の変化によって樹勢の盛衰を繰り返してきた。 築上町では平成二十一年度から六年間、文化庁の補助を受けて根系の分布調査、枝や葉や 樹形などの測量調査にもとづき、土壌改良と酸素管の埋設、根系と表土の養生、全体の剪定、支柱 の保全などの樹勢回復事業を行った。
大楠の保護のため見学は木柵の外側からお願いします。
また、立派な石碑に歌が彫られていました。
作詞 梶屋 邦子
作曲 おぐら りょう
編曲 鈴木 英明
歌 東京混声合唱団
香りも高き大楠は
城井の流れに育まれ
空を覆いてそびえ立つ
歴史も古き二千年
あゝ郷の守りと誇りなり
一夜の宿をと旅人は
樹の祠に身を寄せて
焚き火哀しや三日三夜
大楠も絶えたと嘆けども
あ、不思議芽を吹く大樹なり
人の情けも知りつくし
集う心の安らぎを
託す花火に想い出が
永遠の繁栄を祈りつつ
あ、本庄大楠わが郷よ
2024年10月25日 中川勝弘撮影
築城町役場から10.8km、車で17分、 立派な駐車場があります。