v11.0
- ID:
- 42593
- 年:
- 2018
- 月日:
- 0908
- 見出し:
- 阿修羅の謎が明らかに!? CTとAIが判別した、研究者も驚く木材とは?
- 新聞名:
- アエラドット 朝日新聞出版
- 元UR(アドレス):
- https://dot.asahi.com/dot/2018090600082.html
- 写真:
- 【写真】
- 記事
-
天平文化の至宝、阿修羅像。
表情豊かで優美な装束、しなやかな手足を表した造形は、脱活乾漆(だっかつかんしつ)造りという特徴的な技法による。
この技法は天平期に大いに流行ったようだが、どうやって内部を抜き出したかなど、その詳細はよくわかっていなかった。
非破壊のCT調査で、美術史、保存科
学、木材学の研究者や仏師らが、造像の謎にあの手この手で迫った。
『阿修羅像のひみつ――興福寺中金堂落慶記念』(朝日選書)では、調査結果を詳しく報告するとともに、それをベースに進められた再現実験の過程や結果についても、それぞれの専門家がたっぷり解き明かしている。
CT、AI、機械がはじ
き出した意外な結果に、研究者たちは――
【秘密のベールに包まれていた、阿修羅像の内部はこちら】
* * *
レントゲンやCTスキャンの画像を医師が見落として、ガン患者が亡くなったというニュースが全国で相次いでいる。
先端の医療機器がいくら普及しても、肝心の「見る目」がなかったら、まったく役に立たないのだと痛感させられるできごとだった。
国宝・阿修羅像のCTスキャンによる健康診断では、研究チームは見落としのないよう、細心の注意を払った。
文化財の保存科学担当者、美術史研究者、仏像の制作技術の研究者、仏師、そして森林科学者。
何度も集まってはスキャンで得られた画像をコンピュータ上で動かし、検討を重ねた。
ほぼ全身をくまなく撮影したデータは、上下左右、自由自在に動かせるし、見たいところをどこからでも切り取って見ることができる。
体を輪切りにした画像を、頭のてっぺんから足裏まで徐々に下げながら見ていくとか、胸の下から斜めに見上げた形で内部を透視するとか、いろんなことを試せる。
しかし、同じ画像を見ていても、それが阿修羅像の、どの部分のことなのか、どういう構造なのかの理解は、人によって違う。
ましてや、実際に仏像を制作したり修理したりしてきた研究者と、自然科学系の研究者とでは、イメージが同じであるわけがない。
例えば「丸い石」というひと言でも、人によって頭に思い
描く画像はバラバラだ
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